いきなりのことでキョドリまくりの俺に父は
「良い機会だった」
とニヤリと笑って好きな人がいる、結婚しようと思ってる、あいつ(母)は慰謝料払えば文句言わない、そう言う奴だと言った。
そのあと色々あったけど2人は翌年の初め頃に離婚して親権は父が持つことに。夏に父は20歳年下の部下と結婚した。
確かに夫婦は他人。でも俺にとっては両方とも他人じゃなくて親なので複雑な気持ち。母は嫌いじゃなかったし、どちらかと言うと仕事ばっかの父の方が苦手だった。
母を追い出した父を酷いと思ったけど怖くて何も言えなくて俺は父に従うしかなかった。
再婚後の父の行動は素早くて、海外出張を終え、地元の家を売り払い、都心近くに新居を構え、俺と父と再婚相手3人での同棲を持ちかけてきた。
この時の父のあまりの機転の速さに俺は父はハナから離婚、再婚する気でいたと確信した。
「良い機会だった」
とニヤリと笑っていた父の顔を思い出して嫌悪した。恐怖しか抱いていなかった父に初めて怒りを覚えた。
怒りを覚えた理由は良くわからない。この時点で既に母に対しての愛情も哀れみの念も失せていたし、父は俺に良くしてくれているようにも見えた。
今になって思い返すと、多分、自分の人格を形成した、小さい頃に確かに両親から貰った愛情とか思い出とか教えられたこととか全てが両親に侮辱されたと感じたからだと思う。
俺は怒りを覚えたその日のうちに父の元に赴き殴りに殴って、もう関わらないでくれと告げて絶縁した。
現在は何をしてるのか知らないけど、親の話とか出来ない程度の不自由な身になったくらいで気持ちは少し晴々してる。