それからオヤジは、ここ1年あまりの出来事を話してくれた。
・彼と奥さんは、以前同じ職場だった。
・二人は不倫関係になったが、すぐにオヤジにバレた。
・民事裁判をし、先日慰謝料130万を彼が支払う判決がでた。
・判決後、彼から謝罪も慰謝料を払う等の連絡もないので、腹を立てている。
など、オヤジが怒っている原因を聞かされた。
オヤジが語った話は確かにショックな内容だったが、一番悲しかったのは私と付き合い出した時に、彼が出廷していた事。
全然知らなかったし、そんな事になってるなんて夢にも思わなかった…。
私に語るだけ語ったもののオヤジの怒りは収まらず、彼に罵声を浴びせ続けた。
オヤジの横にいた綺麗な女性は、やはり奥さんだった。
奥さんも「あなた、もう止めて」と半泣きでオヤジを止めようとしたが、オヤジ興奮するばかり。
しまいには、「俺の言う事が間違ってるとでも言うのか?なら警察に聞いてもらおう」
とわけわからんことを言い出し、自分でパトカーを呼んだ。
「詫びろ!」「慰謝料を払え!」
その罵声に、野次馬は集まりだすわ、パトカーは2台くるわ、奥さんは泣き出すわで…こういうのを修羅場って言うのかなと私はぼんやり考えた。
お巡りさんは民事不介入だから
「まぁまぁ~こんな所で話をしても周りの迷惑になるから、後日話をされてみては?」
と仲裁というか、オヤジをなだめていた。
結局、2時間ほど暴言を吐き倒し、オヤジは少し落ち着いた。
ここぞとばかりに、彼は「後日、弁護士を通じて必ず連絡します」と脱兎のごとく去って行った。
その場に残された私は、奥さんから
「巻き添えになってごめんなさいね」と同情され、揚句オヤジからは
「お姉ちゃん…置いてかれてかわいそうに。送って行こうか?」と(苦笑
結局その日はタクシーで帰りました。