その年賀状は、嫁がメッセージも宛先も全て『手書き』で書いたものだった。
しかも『万年筆で 美 文 字 』!
実は嫁、私と一緒に万年筆にハマり美文字を習得していた。
それはもうホントにキレイな文字でトメは悪筆ではないものの、明らかに段違いな文字のキレイさに周りからは別人が書いたものだってバレバレなのである。
受け取った人達からは
「まだ若いのに、あんな字を書けるなんて感心するわ~」
と嫁をほめられて、トメには自分の年賀状を嫁に丸投げ、しかもかなりの人数を書かせたのだと知れ渡り、新年早々トメはすごく気まずい思いをしたらしい。
デイから帰ったトメが嫁に抗議するも、嫁からは
「私はトメさんに言われたようになるべく礼儀正しく丁寧に書いたんですよ」
とスルーされ、天然な息子からも
「やっぱお前の字キレイだ、がんばって書いたんだな~」
と目の前で嫁を労わられてぐうの音も出なかったとか。
それから次の年はPCで簡素に作るよう注文してきたが、その年もその次の年もトメは周りから
「今年はお嫁さんが年賀状書かないの?」
と言われ続けたそうだ。
そんなトメはいろいろあって施設行きになり、嫁はめでたくほぼ絶縁になった。
DQNだったのは書いた嫁よりも、その案を聞いた時にワクワクして
「やっちゃえやっちゃえw」
ってけしかけた私かもしれません…