どこでもドアが欲しかった

近所を歩いていたら、下半身丸出しの二人の男性が倒けつ転びつしながら私の居る方向へ進んできた。私はパニックで…

time 2016/12/09

近所を歩いていたら、下半身丸出しの二人の男性が倒けつ転びつしながら私の居る方向へ進んできた。私はパニックで…

お尻の二人は、近所の住人と、そこに訪ねてきた営業マンだったそうだ。
二人が玄関先で話していると、そこに突然中年の男が飛び込んできて
「○○という名前のヤツはどっちだ!?」と叫んだ。
この○○とは、住人の男性の会社の同僚で、まったく別のところに住んでいる人物だったらしい。
二人がキョトンとしていると、中年男は
「答えないなら二人ともやってやる!」等叫んで、二人の股に向けて何かの液体をガバガバッと掛けた。
そして「二度とデキナクシテヤル!」等と叫び高笑いをした。
二人は何かの薬品を掛けられたと思いこみ、慌てて飛び出して、掛けられた液体を体から離そうとズボンを脱がしあいながら逃げていたそうだ。

あとで分かったこと。
中年男の娘が、○○という男に捨てられて嘆き悲しんでいた。
中年男は娘が振られた恨みを晴らすため、○○の下半身をダメにしてやりたいと思った。
しかしダイレクトに暴力を振るうのは抵抗があるため、下半身にダメージを負ったと思い込ませ、機能不全にしようと考えた。
中年男は大きなポリタンクに消毒用アルコールや水をまぜたほぼ無害な液体をいれ、なぜか間違えて○○の同僚の住人の家へ行った。
そこには男が二人居て、どちらが○○か分からなかったため、二人共に液体を掛けた。
つまり、液体自体はほぼ無害だったと。

奥様が道へ出て行ったとき、下半身丸出しの二人はもう気が狂わんばかりに助けを求めていたそうだ。
で、奥様がパトカーや救急車を呼んだことで感謝され、後に二人はそれぞれお礼に来て色々話していったそうだ。
警察からも事情を聞かれた流れで、そこそこ話を聞いたらしい。
知ってみると、なんともまぬけな珍事件だったよ。
でもね、真相がどれだけまぬけでも、私が記憶しているあの異常な風景は、全然色あせないよ。
もみ合いながら転がり出てくる男性の尻が丸出しなことに気がついた時のあの絵面は、真相を知ってもやっぱり衝撃的な思い出だ。

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