ただ、社長さんは専務さんに怒られてる自分を気遣ってくれてるんだなぁ、と考えてると自然と涙が出てきたので、よし誤魔化せたと思って顔を上げると、専務さんの後ろでヅラを(わざと)ずらして物凄い良い姿勢ですまし顔の社長さんと目が合い、轟沈。
当然専務さんブチ切れだけど、自分の視線が専務さんじゃなくて社長さんを見ているのに気付いて後ろを振り向く。
「君は一体何を笑って・・・!ちょっ、お義父さん!何やってるんですか!!」
苗字違うから多分専務さんは娘婿なんだろうな。
そんな専務さんを社長が一喝。
「ここではお義父さんと呼ぶな!」
慌てて言い直す専務さん。
「し、失礼しました、社長」
「パパと呼べ、パパと」
専務さんも轟沈。
その後怒られてるはずなのに和やかムードになってしまい、
「あぁもう、今回はもう良いから、次からちゃんとやってください」
と専務さんに言われて終了。
今日になって打合せで訪れた際社長さんに改めてお礼すると、
「だって、専務の話長いしつまんないんだもん」
との事。
この会社の離職率が業界平均より異様に低い理由が何となく分かった。
でも笑っちゃいけないと思えば思うほど我慢できなくなっていくのが本気で修羅場だった。