葬儀の後ようやく一人になれてウィスキーをなめていると3歳の長男が
起きてきました。私の横にすわりながら「お母さん大好きだったんでし
ょ。いなくなって悲しいんでしょ。悲しいときは泣くんだよ」と。私は
息子の前でも家内を愛していることを口に出す父親でした。好きな女と
生きていける幸せをいつも伝えてました。息子相手に、付き合った時ど
んなに楽しかったか、私の子供を生んでくれてどんなに嬉しかったか、
どれくらい幸せにしてくれたか、と家内の思い出をぽつぽつと語ってい
るうちに涙がとまらなくなりました。
今思えば、この時になってようやく家内及びお腹の子の死を現実のもの
として捉えることができました。そう、悲しくて泣くことによって。凍
結した感情が解凍したことによって。
情けない父親でごめんな。