父方の親戚は俺のことを多少覚えていて、色々声をかけてくれたが、正直俺はうざいなと思ったし、挨拶もそこそこに故人を拝んだら帰ろうと思ってた。
でも、妹であるらしい女性が一人で慌ただしくしているの実際に見てしまうと、このまま帰るのは見捨ててしまうことになりそうな気がして、葬式を手伝うことにした。
通夜も告別式も火葬も埋葬も一通り完了し少し落ち着くと、妹がポツポツと身の上を語ってくれた。
父親は俺の母親と離婚した後、すぐに浮気相手と再婚したらしい。そして数年経って妹が産まれたということだ。
でも妹の母親は、妹が小学生の時に死んでしまって、それ以来はずっと父娘で二人暮らししていたそうだ。
しかも、俺にとって意外だったことは、父親が俺のことを気にかけていて、妹によく俺の話をしていたということだった。
その事自体は俺にとっては割りと今更感がある話でどうでも良かったが、父親は俺の居場所は常に把握していて、
例えば、学校の運動会とかをこっそり見に来て写真とかも撮ってたらしい。
そしてその写真を妹に見せて、
「お前にはお兄ちゃんがいるんだぞ」
っていつも言い聞かせてたらしい。
それで、妹としては割りと俺に対して親近感があって、ずっと会ってみたかったらしいのだが、
親父が俺の母親と離婚した経緯を大人になって聞いてから、恨まれてるかもしれないと思って
実際に連絡をすることはなかったとの事だった。
しかし父親が病気で先が長くない事を知って、半年前に思い切って連絡してきたという流れだった。
それから…