それから二年ぐらいして、Aが彼女連れ歩いてる時に出会ったが、こっちから軽く奇遇だねとか挨拶。
それ以上は何も言わない。
文化祭に二人して突入。
近かったから来て見たってAの新しい友達達に挨拶して、それ以上は何も言わない。
この時Aの友人の何人かとアドレス交換したけど、最初へらへらしてたAにはっきり異変が出て来たのを覚えてる。
大学生の就活の時期で皆で集まって飯食う時とかにも、そんな話が出て来ると
「Aならきっと大丈夫」
「昔から優しい性格だった」
とか持ち上げてみる。
A友が内定取れたら素直に喜ぶ。
「Aは頭良いから大手でもいけるよね」
ってさりげなく話したら皆乗っかってくれる。
もうすっかり俺達はAの地雷みたいな存在になってたのを確認して、わざとAの目の前で笑ってみたりする。
わざと高校時代どうだったとかそういう話を皆に振ってみる。
その時、有名な会社目指してて、彼女と大学卒業したら結婚する予定とか聞いて
「内定取ったらそろそろ良いかな」
「結婚式でいいかな」
とか聞いてみる。
急に二人して呼び出されて、Aに土下座されて許してくれって言われたが断る。
「大卒のAならきっと俺達より幸せになれるから」
ってさらっと。
今では内定落ちて、彼女と別れて精神病院に行っちゃったAをたまに見舞いに行ってる。
いじめの証拠になるものを全く持ってなかったから時間掛かったが、段々壊れるAを見るのは楽しかった。
「お前は俺達とは違う」
って毎回言われながら、いじめられてその通りだって当時は思い込んでた。
勉強してる俺達が赤点ギリギリなのに、Aはギリギリまで遊んで八割以上取ってた。
運動も何というか俺達ができないことを簡単にAはできてた
普通に復讐しても返り討ちになるだけだからせめてって事になった。
そこまで思いつめてくれたのは、大体A側が深く考え過ぎたんだと思う。
もしも俺達がいじめを告発したら、今まで積み上げてきたのが全部パーになるとか気になったのかと。
俺達はバイトしてるってだけ言ってたから、失うものも無いってAには分かってたかと。
でも俺達もちゃんとした証拠は無いから、とにかくAに匂わせるだけにした。
「何考えてるか分からない」
「人刹しみたいな顔」
とも良く言われてたし深読みしてくれたのは幸いだった。