どこでもドアが欲しかった

「何、できねえ?なんで自分ができない事を人に頼むんじゃぼけ!」

time 2022/10/30

「何、できねえ?なんで自分ができない事を人に頼むんじゃぼけ!」

それを聞きつけた近所のママAが、娘のためにバイオリン作ってクレクレと言い出した。
寄付しているぐらいなんだから、タダでいいよね!と。

義父は丁寧に説明をしたうえで、お断りをしていた。
職人として自分の専門の技術をタダで売るつもりはない。
手作りのバイオリンが欲しいなら、売っているところを紹介するが、値段は高くつく。
寄付に関しても、義父は技術と時間を提供しているだけで、実費は別の支援者が出している。
等々の説明を繰り返していた。

32: 名無しの心子知らず 2013/06/15(土) 06:24:58.52 ID:OUrQU0/X
既製品のバイオリンなんかよりも、娘子はちゃんとしたバイオリンで始めさせた方がいい、
きっと、世界的なバイオリニストになるはず!
そうなったら、義父さんも鼻が高いはず!とかママAが言い出した。

義父は、「じゃあ、娘さんを家に連れてきなさい」と言う。
義父はそれこそ世界的な演奏家を何人もあったことがあり、子供時代も見たことがあるとのこと。
どの子供も、それこそ将来性を感じさせるオーラがあったという。
演奏家としての才能のあるなしは私が見抜いて見せますよ。
その上で、もし才能があるようだったら、バイオリンの事は検討しましょう、と。

ちなみに、義父は自分の人を見る目を自分では本当に信じているようだが、
私は老人のタワゴトと思って全く信じていない。

で、娘を連れてくるママA。
そして、義父は、少し娘さんと話をして、ママAに一言。
「演奏家としての将来性は全く感じられませんね、間違いない。」

分からないながらも悲しそうな顔をする娘さんと、発狂するママA。

なによ失礼な!せっかくこっちが下手にでて頭を下げればつけ上がりやがって!
退職して暇なんだから作れよ、このジジイが。
この屈辱は100倍にして返す、絶対に作らせてやるからな!覚えていろ!

と言ってママAは帰って行きました。

33: 名無しの心子知らず 2013/06/15(土) 06:27:41.06 ID:OUrQU0/X

そして夜。ママAが旦那Aを連れて家に凸。
うちの娘に暴言を吐きやがってと、旦那はブチギレモード。
関わり合いにならないように、距離を置く私。

旦那Aの言葉が終わるやいなや、なんだと、この若造が!旦那Aの首根っこをつかむ義父。
そう、義父は酒乱でして、その日ももうすっかりと出来上がっていました。
酒乱が原因で、義母にも愛想を付かされている人。
しかもそれなりに背も高いし、職人だから力はあるし、でこうなると、普通の人なら手も付けられない。

「おい、お前はタダで俺に働け、というんだな?あ゙あ゙あ゙ん?」(このあたりで腕をねじ上げていました)
「お前の職業は不動産屋か、じゃあ、俺に家をタダで一軒よこせよ、あ゙あ゙あ゙ん?」(馬乗りになって首を押さえつけていました)
「何できねえ?なんで自分ができない事を人に頼むんじゃぼけ!」(馬乗りで、ペチペチと軽くビンタを続けていました)

あー大変だなーと遠くから見ていましたが、結局なんとか、A夫婦は逃げ出していきました。

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