勤めていた工作機器メーカーが、大口取引先である自動車メーカーから取引停止を宣告されたことを受け、売り上げが激減。
真っ先にリストラの槍玉に挙げられクビを切られるまでは、ごく平凡なサラリーマン家庭だった。
35歳のときに5000万円弱で買った「我が家(郊外の3LDKのマンション)」 に帰ると、高校生の長男と中学生の長女の「おかえり!」の声が聞こえてくる。
台所からは妻の声が聞こえる。
妻とは職場恋愛だった。
20代後半で転勤が決定したのをきっかけに結婚し、妻は長男を出産すると会社を辞めた。
年に1回は家族で温泉や海水浴に行く。
定年退職した後は、愛車『プリウス』で妻と二人で日本全国を旅するのが夢だ。
なんら不自由のない幸せな生活—それがリストラ退職によって暗転した。
なんとかなるだろうと思っていた再就職はうまくいかない。
それでも割増退職金があったし、貯金もある。
生活はなんとかなると思っていたが…