毎年秋が来ると思い出す話。
学生時代、近所に野菜や果物の無人販売を行なっている家があった。
それぞれの季節の果物や野菜を「余り物ですが」と札に書いて販売していたが下手なスーパーの品物よりも遥かに安く品質もよくてよく利用させてもらっていた。
そしてある秋の日、その家の近くを通りかかると女子大生らしき女の子と年長くらいの幼稚園児を連れた主婦らしき女が何やら言い争いをしていた。
主婦が女子大生を突き飛ばして何やら怒鳴っている。
園児はギャン泣き。柿がそこらにたくさん転がっていた。
何事かと事情を聞くと、女子大生がお金を払わずに置いてあった柿を根こそぎ持っていこうとしたのを見咎めた主婦が、女子大生に注意したところ女子大生が逆ギレし言い争っていたとのこと。
しかし女子大生は、違う逆だ。
主婦がお金を払わずに柿を全て子どもに手伝わせながら袋詰めしていたところを自分が見つけ、注意した。
そうしたら持っていた柿入り袋をぶつけてきて逆ギレして突き飛ばしてきたと言ってきた。
主婦のほうが多少鼻息荒く怒っているが、どちらの言い分も矛盾点がないし、証拠の柿は道に散乱しているのでどちらが盗もうとしたのか分からない。
とりあえずどうしようかと悩んでいると、さっきまで泣いてた園児が母親に言ったのだ…