毎年秋が来ると思い出す話。
学生時代、近所に野菜や果物の無人販売を行なっている家があった。
それぞれの季節の果物や野菜を「余り物ですが」と札に書いて販売していたが下手なスーパーの品物よりも遥かに安く品質もよくてよく利用させてもらっていた。
そしてある秋の日、その家の近くを通りかかると女子大生らしき女の子と年長くらいの幼稚園児を連れた主婦らしき女が何やら言い争いをしていた。
主婦が女子大生を突き飛ばして何やら怒鳴っている。
園児はギャン泣き。柿がそこらにたくさん転がっていた。
何事かと事情を聞くと、女子大生がお金を払わずに置いてあった柿を根こそぎ持っていこうとしたのを見咎めた主婦が、女子大生に注意したところ女子大生が逆ギレし言い争っていたとのこと。
しかし女子大生は、違う逆だ。
主婦がお金を払わずに柿を全て子どもに手伝わせながら袋詰めしていたところを自分が見つけ、注意した。
そうしたら持っていた柿入り袋をぶつけてきて逆ギレして突き飛ばしてきたと言ってきた。
主婦のほうが多少鼻息荒く怒っているが、どちらの言い分も矛盾点がないし、証拠の柿は道に散乱しているのでどちらが盗もうとしたのか分からない。
とりあえずどうしようかと悩んでいると、さっきまで泣いてた園児が母親に言ったのだ…
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「おかーさん。ちゃんとおかねはらおうよ。ぼくどろぼうしてきたかきなんてたべたくない。」
固まる主婦。明らかに動揺して、
「何言ってるのこの子は!!」とふじこってる。
「まえもここでトマトとかお花とかいっぱいふくろにつめるのおかあさんぼくにやらせたよね。
ぼくもうどろぼうなんてしたくないよ。おにいさん、ぼくとおかあさんがかきどろぼうしようとしたの。
おねえさんはわるくないの。おねえさんごめんなさい。」と言うと再びギャン泣き。
その泣き声に何事かと柿を売っていた家の人や近所の人たちがぞろぞろと外に出てきた。
主婦は「あんたはママを泥棒よばわりするの!!」とか
「あんたみたいな裏切り者生むんじゃなかった」と、園児に対して罵声を浴びせる。
すると女子大生、主婦に強烈なビンタ。
「何すんのよ!!訴えてやる!!」とふじこる主婦に女子大生は、
「あんたみたいな母親の元に生まれてきて、この子のほうがよっぽどかわいそうだよ。
こんな小さい子ですら泥棒しちゃいけないって分かってるのに、いい年したあんたは何なの??
母親なんだから泥棒しちゃだめって教えるんならともかく、泥棒の片棒担がせるなんて何やってんの、この人でなし!!」
と一喝。
再び主婦につかみかかろうとするのをチキンな俺は何とか取り押さえるくらいしかできずorz
それでも、まったく懲りておらず、
「傷害罪だ!!」「訴える!!」とわめく母親に柿を売っていた家主が一言。
「では、警察を呼びましょう。あなたと、この女の子と坊やの言っていることどちらが正しいか白黒はっきりさせましょう。
やましいことがないのならば、警察に行ってもだいじょうぶですよね?」とニッコリ。
「何よ!!たかが柿くらいでバカみたい!!大体盗まれてほしくなきゃこんなとこに置いておかなきゃいいのよ!」
と盛大に自爆。
子どもを置いて逃げようとするのを取り押さえられ、警察が来るまで、近所の人達に説教されていた。
子どもがかわいそうで後味がいいものではないが、小さな子の大きな勇気に心の中でGJと思った。