某遊べる本屋にて。
行ったことのある人は知ってると思うが、あの店は物が多くてとても通路が狭い。
従って、人がすれ違うときはとても気を遣わなくてはならない。
あるとき、大五郎(子連れ狼の主人公拝一刀の子)が乗りそうな乳母車(ベビーカーとは言いづらいサイズ)を押した女がやってきた。
俺は紳士なので、その女と乳母車を楽に通させてあげようと思って、分岐点まで通路を戻り、道をあけてやった。
しかしその女は、通路の途中で止まって商品を物色し始めた。
それなら、と思い、俺は慎重に先に進み、乳母車の横を苦労して通り抜けた。
が、そこには女の夫とみられる小太りだが若い男がいて、俺は少し体に触れてしまった。
男は「痛て~!」と叫んで倒れ、商品をなぎ倒した。
俺は、うわー、と思いながら、やはり紳士なので落ちた商品を拾ってもとに戻してやった。
すると男は俺に向かって「(ぶつかったことを)謝れ」と言ってきた。
正直「なにいってんだこいつ」状態だった。
ここですんなり謝っておけば簡単にすんだのだろうが、先ほどの女に道を譲った際の親切心を台無しにされた件もあったせいか、俺は
「は?」と返していた。
すると男はキレだし、嫁と子供から俺を遠ざけるためか、店員に怒られるのがイヤなのか、
「店の外に出ろ」と俺に言ってきた。
俺も、商品がごちゃごちゃしてる中で揉めるのがいやなので素直に従い、店の外へ。
そこでも男は「謝れ」、
俺は「なんで?」
どうやら男は喧嘩してでも俺に謝らせたいらしい。
しかし、俺は内心
「ちょっと触れた程度で『痛い』とか言っちゃうやつが強いわけないじゃん」
と思っていたので終始相手を舐めていたと思う。
そんな気持ちが顔に出ていたのか、相手は更に切れ、携帯電話を取り出して片手でかっこよくパカッと開いた。
そして
「今、後輩を呼ぶから待ってろ」と言った。
そこで…