昔、某雑誌に勤務先が取材されたことがあって、広報担当だった私の写真や名前が載ったということがあった。
その雑誌が出回った一か月後、会社に
「○○(私)さんが自分の昔の知人ではないかと思う。覚えがあったら連絡欲しい」
みたいな電話が来たらしい。
名前を見せられて思い出し、連絡を取った。
6歳の時遠方に引っ越して行った近所の男の子だった。
休日に会う約束をし、再会して顔を見た時はあんまりの懐かしさに涙が出た。
ハンサムな大人にはなってたけど、当時の面影は十分にあったし、自分が思ってた以上に感極まってしまって、
「会えて嬉しいよ」
と泣いてしまった。
それぐらい当時は仲良かった。
お互いの近況を話し、私が30歳を前に未だに独り身だというと彼は嬉しそうに笑って「自分も」と言った。
彼の方は期間限定の出向で、数か月前からこちらの方に来ているという話だった。
彼に見つめられながら
「雑誌を見て嬉しくて連絡した。人生今まで色々あったけど、君の家に引っ越しのお別れを言いに行った夜より悲しかったことはないよ」
と言われ、ポーッとなった。
間もなく付き合い、お互いの家を行き来するようになった頃、私の携帯電話に無言電話があった。
向こうは一言も発しなかったけど、細くため息のような音が聞こえ、それは女性のような気がした。
会社でその話をすると、ちゃらいモテ男系の後輩男子に
「それは先輩の彼氏の女ですw絶対そうw」
と言われた。
彼にその電話のあった番号を見せ
「変な電話があった、折り返してみようか迷ってる、あなたは何だと思う?」
と試しに訊いてみると…