日本でも有数の繁華街の最寄り駅から乗ってきた、水の人なんだろうな~という感じの派手で綺麗なお姉さんが、中学生たちのいるドアが最寄じゃなかったのに電車が減速し始めると、わざわざそこまで歩いて行ってそのドアの前に立った。
話に夢中でどこうとしない彼らに、お姉さんはとても穏やかに言った。
「ドアの前に大きな荷物を置いちゃ駄目よ」
「ごめんだけど、通してねえ」
そうして、人差し指を口元に当てて「シー」という仕草。
にこにこして、とても優しい声と表情。
周りの遠回しなうざいんだよアピールには生意気な態度だった彼らが
「すいません!」
「ごめんなさい!」
と素直に荷物を網棚に上げると、お姉さんはにっこり笑って
「ありがとうね。もう遅いから、帰りは気をつけて」と言って降りていった。
北風と太陽……と、絶対に車内の皆が思ったはず。
俺も次からはそうしたい。マジかっこよかった、お姉さん。