どこでもドアが欲しかった

夜中に両親が怒鳴りあいのケンカを。その後…

time 2016/11/20

夜中に両親が怒鳴りあいのケンカを。その後…

何かが違う事くらい小学生でも分かったんだろう。
堰を切ったように弟が泣き出して、私も両親を見ていられなくて泣いた。
そこで夕べのやりとりを見てしまった事を告げ、部屋へ走って閉じこもった。
両親は呆然としていたようだったけど、私達を追うわけでも無く、すぐに後ろから夕べのような怒鳴り合いが聞こえるようになった。
その間に二人でバリケード代わりに本棚をドアの前へ動かして、抱き合って泣いた。
本棚を見ても泣けた 父や母が買ってくれた漫画や小説がぎっしり入っていたから。

「やっぱり夢じゃなかったんだ!!」と叫んだ弟と、
「夢であって欲しかったよなあ…」と力なく言う私。

結局、両親は離婚したが、私達はどちらの方へ行くのも嫌がった。
妻子がありながら他の女性と関係を持ち、その写真を肌身離さず持っている父、
あんな事があったのに子供に黙って取り繕うとした母が信じられなかった。
何より、子供が泣いているのに追いかけもせずに
「おまえのせいだ」と怒鳴り合う両親が嫌だった。

「二人はそれでいいかもしれんけど、私達はそんなの絶対許せない!」と二人に叫び、
「あんた達と血が繋がっている人間の所にも行きたくない」とはっきり言って
私達は施設に預けられる事になった。
非行に走ったりグレたりなんかしなかったし、二人とも「良い子」だったけど、とにかく嘘を嫌い、じっと相手の目を見て話を聞く子だったね、と職員の人に言われたのを覚えている。

今、私は成人し、どこにでもいる会社員として働きながら弟の学費を払っている。
生活は弟と二人暮らし。
両親が何をしているのか知らないし、知りたくもない。

ただ、私達は二人とも結婚しないつもりだと言う事は教えてやりたいと思っている。

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