小学生くらいになって初めてドリアという食べ物の存在を知り食べてみたいと母に頼んだら、近所の喫茶店に連れて行ってくれた。
そこでドリアを食べていたら隣のテーブルに座っていたオバサンが喉をおさえながら立ちあがり
「うぐー、うぐー」と唸って泡を吹きながら倒れた。
人が倒れるのを見るのは初めてだったし、オバサンは床でバタンバタンと痙攣おこしててこれは●ぬかもしれないという状況に硬直するしかなかった。
そのうち救急車がきて、そのオバサンは運ばれて行った。
しかし、その時一番衝撃的だったのは、その様子を見ていた母が言ったひと言。
母が言ったこととは…
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「人がせっかく楽しく食事してるのに、騒がしい。迷惑だわ」
普段からそういうことを言う人ならなんとも思わないんだろうけど、人当たりもよくてちょっとお節介なくらい世話焼きな人だからてっきり側にいって介抱したり
「救急車呼びます」
って声かけると思ってた。
優しくて陽気で明るい母にあんなに冷淡で薄情な部分があると知ったときが、幼い私にとっては天地がひっくりかえるほどの衝撃だった。
それからしばらくは
「これは母の皮をかぶった宇宙人に違いない」
と警戒して、できるだけ避けていた。
空にむかって
「お母さんを返してください」
って泣いたこともあった。
それ以来、ドリアが食べられない。