6年くらい前の夏の話。
バイト先のコンビニに、小学校中学年くらいの綺麗な顔の女の子と、小太りの20歳くらいの男が一緒に買い物に来ていた。
最初は兄妹かなと思ってたんだけどね。
二人が私のレジに来て会計を始めた途端、小太りが女の子に後ろからギュッと抱き着いて
「○○(女の子の名前)は可愛いな~可愛いな~」
と言いながら女の子の体をあちこち擦り始めたんだ。
女の子は黙って耐えていたけど嫌そうに顔をしかめていた。
その上夏場で二人とも薄着。
女の子はノースリーブのワンピース、小太りは汗まみれのランニングシャツだから、正面から見ていて何だかとても生々しく思えて、気持ち悪くて。
会計終わった後思わず
「やめてあげてください、嫌がってるじゃないですか」
と声を掛けてしまった。
うわ、言っちまった。接客業なのにどうしようアチャー…と一瞬後悔したけど、小太りが私を睨み付けて
「僕はこの子と仲良しの従兄ですけど何か?」
と呟いたのを聞いた瞬間、何故かカッとなって
「従兄だから何ですか。アンタもしその辺にいる知らない女の子にそれやったら確実に逮捕ですよ。他所の女の子に出来ないことでも親戚の女の子になら許されると思ってるんですか?もう一度言いますけどこの子が嫌がってるんですよ。 後ろからベタベタ抱き着いてないで正面から顔見てあげたらどうですか!」
と一息に言い返してしまった。
もう少し上手い言い方があるだろうと我ながら呆れたけど、とにかく一刻も早くこの小太りから女の子を離したい一心で出た言葉だったんだ。
後先考えずにやった事だから少しは覚悟してたけども案の定その後は大変だった。
私のわめき声を聞いた店内の客がザワザワ。
怒った小太りが女の子を連れて退店。
そして私はこの事を知った店長から大目玉を喰った。
「女の子が自分から助けを求めた訳じゃないのに大勢の前で決め付けるような事を言って!
名誉毀損で訴えられたらどうするんだよ!」
と怒鳴られ、自分の仕出かしたことを初めて自覚し、物凄く後悔した。
あの小太りの言う通り、本当に仲良しの従兄妹同士だったら。
女の子が嫌がってるように見えたのも私の気のせいかもしれない。
逆に私の言った事が女の子を傷つけちゃってたらどうしよう…。
結局小太りからクレームなどは来なかったためクビは免れたけど
私はその後何年も女の子の事を考え続けてはウワァァァって頭を掻きむしってた。
でも…