どこでもドアが欲しかった

イジメられている俺を助けてくれた奴は超がつくほどのオタクだった…

time 2016/11/20

イジメられている俺を助けてくれた奴は超がつくほどのオタクだった…

俺は高校でいじめられていた。 
クラス全員からの無視、嫌がらせや暴力。 
友達は一人もいなくて、もう死にたいと思っていた。 

そんなある日、学年が変わって新しく同じクラスになった一人の男子が俺に話しかけてきた。 
そいつは見た目はまともだが、かなりのオタクだった。 
「いじめは萌えの宝庫」とか呟きながら、俺にどんないじめをされたか聞いてきたり、 
破かれた教科書を見せてくれとか言ってきた。 
気持ち悪い奴ではあったが、俺にとって唯一の話しかけてきてくれた人間だった。 
そのオタ男の言動はいろいろと俺の想像の斜め上を行ったが、それでも少しずつ話すようになった。

数日後、オタ男と一緒にいる時にいつものいじめ集団がやってきた。
途端に心が折れてうなだれる俺。
するとオタ男がアニメの声優みたいな口調で
「俺は争いごとは好まぬ。だがしかし、降りかかる火の粉は払わねばなるまい」と、俺達の間に割って入ってきた。
その言葉はあっさりスルーされ、俺とオタ男は一発ずつ殴られた。
後で俺はオタ男に「もう俺に話しかけない方がいいよ。お前が代わりにターゲットにされる」と言った。
するとオタ男は急に目を輝かせて
「身代わり!ターゲット!な、なんという萌えワード。標的と書いてターゲットと読ませる…うーん、悪くない」
ちょっと意味が解らなかったが、とにかくオタ男はそれからも変わらず俺に話しかけてきた。

 相変わらずいじめは続いていて、オタ男も一緒に絡まれることが何度かあった。
オタ男はその度にあらかじめ用意しているらしい様々なアニメ口調のセリフを披露したが、常に華麗にスルーされ、
時には俺の巻き添えでいじめを受けることもあったが、なぜかいつも楽しそうだった。

いじめグループは俺に友達ができたのが気に入らなかったらしい。
ある日、奴らはオタ男を呼びだして数人がかりでリンチした。
ボロボロになったオタ男を見て、俺のせいだという申し訳なさでいっぱいになった。
これでオタ男も俺から離れていくだろうと思うとすごく悲しかった。

しかし…

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