どこでもドアが欲しかった

Aは凄い強運の持ち主だった。だが、ある時「財布落とした」とAから連絡があって…

time 2016/11/22

Aは凄い強運の持ち主だった。だが、ある時「財布落とした」とAから連絡があって…

それが本当になってしまった。

まずAの母親が転んで骨折し、入院中にまだ60代なのにボケてしまった。
Aは一人息子で独身だから、AとA父で面倒を見るほかなくなった。
施設に入れるには何かのランクが足らないとかで、
入れるまで何年も待たなければならないそうだった。
Aの勤務先はホワイト企業、A父はややブラック気味で
Aの方が休みがとりやすいため、母親の世話はAがメインになった。
Aは急いで結婚しようとしたが、キープしていた女達は誰もプロポーズを受けなかった。
このへんの話は全部A本人から聞いた。
Aは息抜きと称して飲み会にしょっちゅう来るようになり、愚痴ばかりになった。

居酒屋にいた客にAは
「あなた最近、長年使っていたものを捨てなかった?」と聞かれた。
Aは身に覚えがあったようで、そいつのテーブルに移って何やかや話をしていた。
結果的に、そいつは詐欺だった。
「使い慣れたものを捨てたせいで祟りが云々。信心してこれを買えば運気上昇」とかなんとか言われ
Aは信用して信心グッズを買い、車を売ってお布施してしまった。
詐欺だと気づいたのは逃げられてからで、Aの荒れようは凄かった。

現在Aは40手前で独身で、A父は定年退職し、A母はまだらボケている。
Aは相変わらずホワイト企業勤務だが、休みが多いため閑職にいる。出世の見込みはない。
一時期婚活していたが、以前付き合っていた女とグレードが違いすぎて
「生活のグレードは下げられても女のグレードは下げられない」と名言を発し現在に至る。
普通の人間は幸運と不運が交互に均等になるところを
Aは何かの間違いで人生前半に幸運、後半に不運が偏ってしまったように思えてならない。

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