「へー、もうちゃんとした下着つけてるんだ。子供用じゃないんだなあw」と
背後からA父の声が。いつのまにかA父が部屋に入って着替えを眺めていたらしい 。
その時の私の格好は、上が下着、下が脱ぎかけのジーパン。
「ひっ」とか間抜けな声を上げながら慌ててタオルで身体を隠そうとしたら、
足がもつれてソファに倒れこんでしまった。
「あー危ない危ない。おじさんが手伝ってあげようねぇ〜」
変態テンプレのような台詞を吐いてA父が覆いかぶさってきた。
抵抗はしたけど所詮子供の力、あっさり押さえ込まれて下着をずらされそうになった。
至近距離のA父顔と臭い息と、生温かい下半身を擦り付けてくる動作をやけにはっきり覚えてる。
もう駄目かもと諦めかけたところで、Aと柴犬が飛び込んで助けてくれた。
ここら辺はなんかぐちゃぐちゃしてて曖昧なんだが、
「ふざけんな、糞親父!」
とかAの罵声と、柴犬の吠え声、A父の痛がる声が飛び交っていた。
A父を部屋から追い出したAは、部屋の隅で服抱えて蹲る私に
「本当にごめん。家まで送っていく。もううちには来ないほうがいい」
と半泣き土下座の勢いで謝罪。
でもその時の私は送ってもらうことさえも嫌で、もういいからと繰り返して自宅に一人で帰った。
その後Aとは疎遠に。
というか私がほぼ一方的に無視してしまった。
大学生になって幸い大きなトラウマにはなっていないけど、当時はAと顔を合わせるたびに内心修羅場だった。
そして昨日友人伝手に聞いた話では、中学卒業時にA父とA母は離婚。
AはA父と一緒にあの家で暮らしているらしい。
Aの修羅場はまだ続いてるのかもしれないと思った。