他界した祖母の書斎の整理をしている時に、知らないおじいちゃんが訪ねてきた。
おじいちゃんは山高帽に着物を着こなしたいかにも老紳士と言った出で立ち。
祖母の知り合いでお線香をあげにきたとのことだった。
おじいちゃんはお線香をあげると、祖母の書斎に案内して欲しいと言った。案内するとおじいちゃんは棚の中から一冊の魚の図鑑を取り出してこれを譲って欲しいと言ってきた。
「タダでとは言いません」
と包んでいた風呂敷を開けると、中には札束の山があった。あまりの金額の多さに母と私はたじろぎ、母はこんな大金頂けませんしこの本には先客がおりますので譲ることは出来ませんと断った。
おじいちゃんは結構食い下がったけど、最後は諦めて帰っていった。
後日、どこから嗅ぎつけたか知らないけど金にがめつい親戚の叔母が襲撃してきた。
土足で家に上がり、祖母の書斎に直行。図鑑を引っ張り出して家から出ようとしたところをすんでのところで母が止めた。
叔母は狂ったように暴れ回った。本を振り回し、私のもんだと叫び、辺りのものを投げ散らかした。最後は図鑑の角を母の頭に思いっきりぶつけて昏倒させて逃げていった。
母は頭から出血したり、打撲とか捻挫とか結構な怪我をした。
両親が叔母を警察に通報するか話し合いをしていたら、叔母が再び来訪。件の図鑑を投げ付け
「二束三文にもなりゃしねぇじゃねえか。変な噂立てんじゃねぇ」
と怒鳴り散らし、また暴れ回り、金を奪って去っていった。
そこで何故あのおじいちゃんは価値もない本にあんな大金を出そうとしたのかと疑問を持ち、連絡して来てもらうことになった。
おじいちゃんの話によると…