兄が残した録音テープ(祖父のイビリが録音されている)を聴いて、父の態度が変わった。
「俺の息子を殺したのはお前かあああ!!」
「息子を返せ、このクソじじい。お前が死ねばよかったんだ」
「俺の家をメチャクチャにしやがって、このクソジジイ」
それまで「いい息子」をひたすら演じてきた父親が豹変し、祖父に対して
会うたびに凄まじい罵倒を浴びせるようになった。
爺はショックで萎縮し、言葉も出なくなった。
それまでは支配者のように振舞っていたのに、こんなに弱かったのかと驚いた。
父は祖父に家庭内での自由を一切禁じた。
「貴様は二度と俺の娘に話しかけるなよ。娘まで殺されてたまるか」
と父が言ったので、恐れて私に近寄ってこなくなった。
父が荒れ狂い始めてから3ヵ月後、爺はコロっと死んでしまった。
食事もとれず、夜も眠れず、急速に衰弱したらしい。