犬が猛烈に吠えて、男が「いてっ」と叫び、そのあとは男の悲鳴。
私はただただ、茫然。
犬が戦ってました。痴漢と…。
うちの犬はミニチュアダックス。もしかしたら犬が見えてなかったのかもしれない。
あるいは、小さい犬だと舐めていたのかも。
でも、よく知られているようにダックスフントは猟犬。
ものすごく力が強いし、噛みついたら離さない。
そしてうちの犬はものすごく凶暴なんです。
そういうのもあって、犬がいれば痴漢なんか平気と思ってたところはある。
でも実際体験する事になると、ただただパニック。
すごかったです。
犬、すごいフットワークで男の攻撃を華麗に避けて、隙を見て足だの腕だのにガブガブ。
男はTシャツに膝丈のズボンだったので、もう、血だらけ。
本気で犬が痴漢を食い殺すかと思った…。
私はとても怖くて手も出せず声もかけられず…。
とうとう男は犬を掴んで投げつけ逃げ出したんだけど、犬は鮮やかに着地すると、そのまま飛び出し
痴漢を猛烈に吠えながら全力で追跡。
ダックスって足短いでしょ。でも、すんごい脚早いんですよ。
うちの体育会系の兄(身長185)の全速力と勝負して負けないくらい。
固まったままだった私も慌てて犬を追ったら、公道に止めてあったワゴン車から犬がポイされた。
犬はさらに車を追跡しようとしたけど、慌てて捕獲。
興奮してもがいてたけど、しばらくして落ち着くと私をぺろぺろしてくれた。
痴漢の血がつきそうでちょっとイヤだったけど。
私もやっと思考回路が回復してきて、兄に電話。兄は帰宅途中で、すぐ来てくれた。
そして私と犬見て兄ビックリ。犬血だらけでした。
その後警察来たりなんだかんだでやっと家に帰り、兄が犬を風呂に入れたけど、犬は怪我なし。
現場にもかなり血がついていたから、大けがだったと思う。
でも病院には行かなかったみたいで、結局捕まっていない。
帰宅した母が顛末を聞いて卒倒しそうなほど驚いてたけど、犬をぐりぐり撫でまわして褒めてた。
その晩は肉だのヨーグルトだの贅沢三昧に甘やかされてました。