奴の背後で部屋のドアが開いた事にも気付かない。
「これからもずっとずっと家にいればいいよ!義妹としては無理だけど奴隷として可愛がってやる。下々の奴にもおこぼれぐらいあげてもいい。」
ここまで言ったところで奴父が顔を真っ赤にして奴をぶんなぐった。
私の部屋の外には兄と母もいた。
兄は奴父と同じくらい顔を真っ赤にしてブルブル震えて、母と一緒に泣いてた。
倒れてふぁびょってる奴には目もくれず、駆け寄って私を抱きしめて謝った。
兄と母の泣き顔なんて初めて見たので、私も泣いてしまった。
違う、誤解だってわめく奴を、奴父がずっと往復ビンタしてると、父と奴母も来て奴父を取り押さえた。
すぐに出て行けと怒鳴る兄と泣きながらずっとそばを離れない母を見て、奴母も父もすごくビックリして何があったのか聞いた。
奴母はそんなことありえないと喚いてたが、父はすぐに私の味方になってくれた。
我が家の家訓は「嘘をつかない。騙さない。悪意を吹聴しない」だったから。
母も兄も、奴父でさえこうなんだから真実だろう。そうでなくてもお前の事は信じるって言ってくれた。
その場で兄は結婚はできない。今後の話し合いに我が家は使わない。私に近づくなと言ってくれた。
奴は泣いて兄に縋りつこうとしたけど振り払われたし奴父には取り押さえられた。
その様子を見て、奴母は奴父を引きはがそうと暴れるしで大暴れだった。
私は泣いてるしかできなかった。
玄関の外に奴と奴母を追い出して、奴父は玄関で土下座して謝ってきた。
「あいつがあんな腐った奴に育ててしまったのは私だ。責任を持ってあいつから妹さんを引きはがすし更生させる。だからまだ婚約破棄は待ってほしい」と。
兄は「今はそんなことを考えられない。顔を見たいと思わないし、正直もう会いたくない。妹とは金輪際一切の接触は許さない」とハッキリ言ってくれた。
奴父はうなだれたまま帰ってった。
泣いていたかもしれない、申しわけなかった。
結婚駄目になってしまうかもしれない。
私のせいでと兄と両親に謝った。
怒られたけど、なんでもっと早く言わないのか!とかいつからだ!中学から!?言えよ!!ってかなり怒られたし、泣かれた。
どんな事されたのかも全部話した。
泣かれたくなかったし心配かけるってわかってたから言わなかったけど、もうばれたからと思って全部。
損害はリビングの壁とお茶ポット。兄が殴って壊した。兄とは7つ年が離れていて、ずっとやさしくて頼れる兄さんだったけど、あんな激昂した兄は初めて見たのでショックだった。
虫を食べさせられたって話がいけなかったんだなと思う。
その夜は家族みんなでリビングに布団しいて寝た。子供のころみたいで嬉しかった。
兄も両親も訴える!!ってかなり怒っていたけど、私がこれ以上かかわりたくないって言ったから婚約破棄して終わりにしようってことになった。
でも奴両親はかなり食い下がってきた。