ちょうど十年前の夏のことです。
友人が、実家から缶ビールを一箱もらってきたため、急遽下宿先で酒盛りが企画されました。
そのため、私と別の友人が、つまみの材料を調達するため、閉店間際になると投げ売り状態になる近所のスーパーへと買い出しに出向いたのです。
てくてく歩いていた我々の耳に、蜂の羽音のような音が聞こえてきました。
それが女性の金切り声だと判ったのは、以下の言葉が轟いたからです。
「誰の子供、堕ろしたと思ってんのよぉぉぉぉぉ!」
なんだ痴話喧嘩か。と、友人が言い、私も納得したのでそのままスーパーで買い物を済ませました。
その後、下宿へ帰る途中、背後から足音が聞こえるのです。
振り返った我々が目にした光景は…