どこでもドアが欲しかった

彼を気に入ってるバイト子を仕方無く家に泊めたら…

time 2016/12/03

彼を気に入ってるバイト子を仕方無く家に泊めたら…

彼男の隣にいる私を見て、あぜんとするバイト子。 
私たちが付き合っていることを知らなかったらしい。 
薄々気付いているかと思っていたんだが…。

「さすがにふたりきりはまずいからさ、私子も一緒に待機するよ。 
3人いれば安心だろうし」 
という彼男。 
ドアを開けたときは、目に涙をいっぱいためて、すがるような表情をしていたバイト子の顔つきがみるみる冷めていく。 
「いいです、ひとりで平気だから帰って下さい」 
「え、でも…」 
「いーから。帰って。カギは明日会社で渡しますから。じゃあ!」

…追い返されるようにドアを閉められた。

そんな事件があってから数日。 
あの日以来バイト子はぱったりと彼男に寄り付かなくなった。

なんだったんだ、と呆れつつ、平和な日々を過ごしていたある日。 
私は彼男の部屋に泊まりに行った。

夜、彼男の部屋に置いたままにしてあるスキンケア一式で、メイクを落とそうと 
クレンジングを手に取る私。 
が、顔に馴染ませた途端、ものすごい痛みが私を襲った。 
顔中がピリピリと焼けるように痛い。 
目にも沁みて涙が止まらないので、目も開けていられない。

「痛いイタイイタイよ~!!」と大泣きでバスルームから飛び出す私。 
彼男もびっくり。 
クレンジングが腐ってたんじゃないの!?と聞かれるが、 
買ったばかりだし、前回使ったときはなんともなかった。 
私の顔をティッシュで拭いながら、コップにクレンジングの中身をあける彼男。

…クレンジングの表面に浮かぶ、オレンジ色の輪を見て、ひとこと。

「…ラー油!?」

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