先月、自宅警備員歴8年の俺が大手柄を立てた。
まず簡単に俺の略歴から。
学生時代:ゲーム大好き。インドア派。
成績は中の中だがコミュ障ぎみ。
22歳で大学卒業するも、面接が苦手で就職先が見つからず撃沈。
最初は焼肉屋でバイトしてたんだが、1年くらいでやめた。
あとは日雇いのバイトとかたまにする程度。
ずっと実家住まい。
父親はサラリーマン58歳。母親は看護師58歳。
平日は自宅に誰もいなくなるから、俺が警備を担当している。
といっても普段はそんな事件なんて起こらないから平和そのものだ。
マンガ読んだりゲームしたりしながら毎日過ごしてる。
ところが、少しづつ秋の訪れを感じる先月の26日、事件は起こった。
俺はいつも通り、南側の窓のある部屋(和室、畳部屋)にごろごろしながら、 闇金ウシジマ君を読んでいた。
ちなみにウチはマンションの2階なんだが、 南の部屋は日中は多少なりとも日の光が入ってくるので明るい。
俺は両親に多少なりとも気を使って、日中はなるべく電気を使わないようにこの部屋に居るようにしてた。
で、畳の上で寝そべってゴロゴロしていると、 なんか頭の上の方(窓のほう)からキィキィ音がする。
しばらくはどっかで道路工事でもしてるのかと思ってたんだが、 やっぱり妙に近くから音がするような気がして、ふと窓の方に目をやってみた。
厚手の白いカーテンごしだったんでハッキリとは見えなかったが、 どう見ても人間と思しき影が、ベランダの窓の所に座ってなんかやっている。
俺の体はこわばった。
どうしよう、なにアレ? やべぇよ絶対。
動いたらバレてコロされるかも、とか思ってしばらく動けなかった。
冷静に考えてみたら、たぶん向こうが逃げていくと思うんだが、 とりあえずその時はそんな事考えられなかった。
そんな訳で、たぶん30秒くらいは動けずじっと固まってた気がする。
しかし節電のために電気はつけてなかったんで、部屋の中はそんなに明るくない。
加えて厚手のカーテンのおかげで、外からはあんまり中が見えないはずだ。
俺は意を決して、動くことにした。
とりあえずこの部屋から出なくては、と思った。
仰向けからゴロンしてうつ伏せになって、ほふく前進みたいにして隣のリビングに出た。
リビングのソファの陰になる所あたりからハイハイみたいな感じになって、 さらに廊下に出て、トイレに入った。
トイレという個室空間に入ってカギをかけた所で、俺は少し冷静さを取り戻した。
移動中は気付かなかったけど、額とか背中とか汗でびっちょりになっていた。
ついでにちょっと尿意もあったけど、なんかジョボジョボって音で気づかれたらマヌケすぎると思ってやめといた。
その後…