どこでもドアが欲しかった

自宅警備をしていると泥棒が侵入!?絶体絶命のピンチに…

time 2016/12/04

自宅警備をしていると泥棒が侵入!?絶体絶命のピンチに…

たぶん1分くらいだと思うが、すごい長く感じた。 
すると、突然また足音がしだして、今度はトイレの方に近づいてきた!!

俺はとっさに武器になるものを探した。 
トイレクイックル、芳香剤、ちいさなゴミ箱・・・ 
ダメだ、どれも武器になりそうにない。 
そもそもドアにカギがかかっているから、そう簡単には開かないんだが。

足音がトイレの前を通りすぎる時、俺の緊張は極限に達した。 
よくマンガとかで汗がポタポタ垂れるけど、 本当に床に汗がポタッと垂れたのは初めてかもしんない。 
そのくらいすごい汗だった。 
足音はそのままトイレの前を通り過ぎて、奥の部屋へと向かっていった。

今度は両親の寝室の方に入っていったようだ。 
実はうちの大事なものは、寝室のたんすの引き出しの一番上に入っている。 
たぶん泥棒に見つかるのも時間の問題だろう。 
(ここで俺が出ていけば盗まれるのは止められるかも) 
家の大切な財産が奪われかねない状況になった事で、 今まで逃げ一辺倒だった俺の心境に変化が生まれた。

今出ていけば、大切なものは盗まれずに済むかもしれない! 
けど、俺の命の保障はない。 
いくら自宅警備員とはいえ、命は惜しい。 
っていうか、怪我するのだって嫌だ。

俺はたまに部屋でなんちゃって筋トレするくらいで、 ガタイも良くないし、もみ合いになったらたぶんやられる。 
ダメだ、父さん母さん、俺は二人の大切な財産を守れそうにないよ・・・。

そんなこんなで泥棒が寝室でゴソゴソしている間、 俺はトイレの中で一人で葛藤していた。 
出ていけば(たぶん)やられる。 
出ていかなければ財産が奪われる。 
どうする、俺、どうすんのよ、俺?

なんかどっかのCMのキャッチフレーズが頭に浮かんだりしつつ、 結局俺は泥棒が寝室から出てくるまでの間、取り押さえにいけなかった。

ダメだ、たぶん通帳とか母さんの指輪とか、全部やられたに違いない。 
ミシミシと足音が寝室を出て、廊下を玄関の方に向かって歩いていくのを聞いて、 俺は絶望感に浸っていた。

その時、予想外の出来事が起こった!

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