どこでもドアが欲しかった

女子が圧倒的に多い高校に通っていたが、ある日「男子と同じエレベーターに乗りたくない」と言い出した…

time 2016/12/07

女子が圧倒的に多い高校に通っていたが、ある日「男子と同じエレベーターに乗りたくない」と言い出した…

まずは仲間を集める事から始めたが、これは簡単だった。
元々仲がいい上、みんな不満溜まってたからすぐに協力してくれた。
更に部活で後輩にも協力要請、全員とまでは行かないが仲間が増えた。 

計画は簡単、女子より先にエレベーターに乗る、それだけ。 

休み時間の度に、担当3人が交代でエレベーターに乗る。 
そして休み時間終了まで乗りっぱなしでいる。 

女子が待つ階に止まったら、 全員で腕を組んで仁王立ちでお出迎え。
何故かみんな階段の方に行ってしまう。 
別に占領してる訳じゃ無いから乗って来てもいいのに。

エレベータ立てこもり計画は、訳の分からない団結感もあって、朝の担当の中にはパンを持って登校してきて、
エレベーターの中で朝食を取る奴がいる位には俺たちの日常として定着していった。 

計画開始から大体2週間位たった頃、とうとう最終決戦の日がやって来た。 
昼休み、女子達が先生数人を連れてエレベータにやって来たのである。

そうとも知らずに先生方を仁王立ちでお出迎えしてしまった俺達。
すぐさま降りる様に言われてエレベーターから出ると、 
「毎日毎日エレベーター居られて迷惑!!」 
「女子が乗れない!!」 
「いつ乗ろうとしても必ずコイツらが乗ってる!!」と、 
凄い人数の女子達にまくし立てられた。 

当然俺達も反論するが多勢に無勢。 
一回反撃する間に五回攻撃が飛んでくる。 
これではどうしようも無いので一人に増援を呼ぶように頼んだ。 

数分後、学校中の1、2年生男子ほぼ全員が2階に集合!!!

あまりの事態に急遽体育館が解放され話し合いとなった。

話し合いは始まってすぐに決着が着いた。 
後輩の一人が、特に酷い暴言を録音した物をSMSに挙げていたからそれを再生。 

「男子は乗って来ないでよ、キモイ!!」 
「体力あるんでしょ、なら階段使いなさいよ!」 
「息臭い、乗らないで!!」 
等々、暴言が体育館に響き渡る。
もちろん全部女子の声。 

その後、先生方から色々話をされて結局仲直り。 
エレベーターは男子も女子も普通に使える様になったが、 
女子のリーダー格だけは卒業まで階段を使っていた。 

そりゃ体育館に響き渡った暴言の内3分の2がそいつのだもんな… 
気まずくて乗れなかったんだろう。

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