動けない母の身体の下にいたウチの犬が見たこともない早さで飛び出し中型犬のノド笛に食らいついた。
悲鳴を上げるババア。
中型犬も必死にウチの犬を引き離そうと身体を振りまわすが、ノドにぶら下がったままこれまた聞いたことも無いような唸り声を上げてぶらんぶらんする。
そのうち呼吸もできなくなった中型犬はその場にへたり込んだ。
ここでやっと母がウチの犬を引き剥がす事に成功。
ババアはすさまじい勢いで、うちの○○○ちゃんが怪我をした、もしもの事があったらどうしてくれる、連絡先を教えろ、と母にまくし立てる。
母は先程さんざん中型犬に噛まれ、血がにじんだ腕をババアに見せながら
「なんなら今すぐ保健所呼びましょうか、その時には事の次第を全て話しますのでお宅のワンちゃんも相応の処分をされると思いますが」
ババアはヒューヒュー言ってる中型犬を慌てて抱えると、脱兎の如く逃げた。
その後、母が公園であの犬を連れたババアに遭遇。ババアは何か言いかけたが
「まだ保健所に連絡してないんですか?他の人に被害が出たらどうするんですか?」
と問い詰めたところ、ババアまたもや退散。
以後、その公園では見かけないとの事。都心部で犬の散歩できる場所なんてあの公園ぐらいしか無いのに。
ウチの犬は相変わらず無愛想で、今もストーブの前で背中を丸くしている。
ただあの日から、ドッグフードに肉のふりかけが掛かるようになった。