どこでもドアが欲しかった

『相談女』に引っかかり家族を失いかけたが同僚の言葉で…

time 2016/12/09

『相談女』に引っかかり家族を失いかけたが同僚の言葉で…

自分がいわゆる「相談女」にひっかかって、しかも自覚がなかった。
相談女という言葉は知っていたのに相手も自分も当てはまらないと思いこんでいた。
恋愛についてネチっこく相談してくる湿っぽい女が相談女なのだという決めつけがあったようだ。

その女は俺に、相続のことで相談して来ていた。
俺も2年ほど前に親をなくし相続で苦労した口だったため
アドバイスできることならしてやる気だった。
そして相談に乗っていることを嫁にはオープンにしていた。
やましい気持ちがないんだから当然と思っていた。
オープンにしてさえいればOKなんだと思い
嫁の前でもメシ中でもベッドの中でもずっとスマホをいじっていた。
ある日、子供が話していたのに俺がその女のラインを優先させたことで嫁から苦言を呈された。
子供の話はたわいない日常報告で
女の相談は相続についての深刻な内容だったので
「子供の話は急ぎじゃないんだからいいだろう」
と俺が言い、喧嘩になった。


話し合い、俺はその女に気がないこと
女も俺みたいな中年オヤジに粉をかける気はないと言ったが
嫁は「とにかく優先順位を間違えないで欲しい」の一点張りだった。
俺は「困っている人が最優先だよ」と言い、嫁は黙ってしまった。

女の相続問題は長引き、相談も1年を過ぎた。
その間に上の子が高校に合格し、家でお祝いをした。
ケーキと、ちょっとしたご馳走で自宅で祝った。
しかしいつものように相談ラインが来て、俺がスマホを手に取ると、娘が言った。
「返事するなら、向こうでやってくれる?」
とても冷たい声だった。
俺が咄嗟に嫁を見ると
「お母さんの意見関係ないから。
私も弟もウザイと思ってる。お祝いムードが台無しだから、
お父さんだけ向こうの部屋でラインしてよ」
と言われた。
そう言われて席を立てるわけもなく、俺はスマホをケツの下に入れて
夜中まで返事をしなかった。

その夜俺は嫁に、改めて「女には気がないし、向こうもそうだ」と説明した。
しかし嫁は「気があるかどうかなんて論点じゃないんだってば」
とうるさそうに言い、寝た。
それからしばらく反動で、俺は女とのラインに逆に熱心になった。
家族への愚痴も洩らしてしまったと思う。
会社でも休み時間に、女とずっとラインしているようになった。

見かねたか、同僚がある日飲みに誘ってきた。
同僚も「女とラインするのはよせ」と説教してきたので
「やましい気持ちはない」とそいつにも説明した。
そいつは心底呆れた顔で…

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