どこでもドアが欲しかった

私をとてもかわいがってくれていた姉。私がいじめられていることを知ったら…

time 2016/12/09

私をとてもかわいがってくれていた姉。私がいじめられていることを知ったら…

姉は体が弱い人で、たかが風邪でも肺炎寸前までこじらす。
両親も心配して微熱でも医者、漢方とありとあらゆるものを与えたが虚弱は治らず。
でも姉はそんなハンデをもろともしない強い人でもある。
文化部に入り、黙々と活動し優秀な成績を残すし、世間で一流といわれる某大学へも進学した。

そんな姉とは違う私は、身体だけが丈夫なちんちくりん。
チビだし色黒だし頭も良くない。
なのに姉は世界一可愛いと物申す。
私が転べば絆創膏を貼り、勉強ができないと泣けばこんな馬鹿にも根気強く教えてくれ、部活の大会には忙しい両親に代わり応援に来てくれてた。

だいぶ話がそれたけど、私は高校でいじめられてた。
部活の大会で先輩達よりも良い成績取ったら、生意気だってそんだけの理由で。
シューズに泥盛られてたし、教科書アクエリアス塗れにもされたし、ラケットのガットは破かれた。
本当思い出すのも悔しい。
両親には言いたくなかった。
忙しい人達だけど、本当に大事にされてるなあって分かってたから。悲しませたくなかったんだよ。
けど、姉にはそっこーでばれた。


姉、色白いのに顔真っ赤になって、穏やかな人なのに般若みたいだった。
その時はもう姉は社会人だったんだけど、その日は夜中までパソコンやら電話やらしてた。
そして、次の日一緒に登校。
校長先生と顧問と先輩達が集められてた。
「この痣の位置は、絶対自分で付けられない位置です。障害ですね。」
「これが土を盛られたシューズに、破かれたガットの写真です。刃物で割かない限り、こんなにはなりません。器物破損ですね。」
「教科書もこんなにふやけてます。うちではアクエリアス持たせてません。あ、バッグの中で漏れたとかいう推測結構です。疑うなら水筒鑑定に出します。麦茶の成分以外出ません。」
「あと、そこの彼女が今鞄に付けてる筈のキーホルダー。妹から盗んだもので間違いないです。私が誕生日にオーダーメイドで、友人に頼んだものです。はい証明書です。ということで窃盗ですね。」
と淡々と姉の独壇場。
私すら口を挟めなかった。
「そこの彼女ら全員退部ですね。え?最後の大会?だから?被害届は出しますから、どのみち出れませんけど。は?まだ子供だから?更生なんて無理ですよ。」
「なるほど、加害者を庇う。ならレコーダーの記録は、裁判で有力な資料となりますね。あら、困るんですか?なぜ?それが方針なら胸でも張っといたらどうですか?」
「黙りなさい。あなた達が泣いてもうるさいだけ。親御さんに伝えなさい。私は犯罪者になりましたって。」
「こちらの要求は、この子らの退部と妹の安全の保証。それから学校内での聞き取り調査。どうせ妹以外にもいじめてますよ。こーゆー子たちは。」
「一つでも違えたら裁判ですから。マスコミに報道されたら、このレコーダーも渡します。以上。」
ほんとこのくらいしか覚えてないけど、声を荒げることもなく、終始笑顔なのが怖かった。
姉は弁護士の資格とれた1年目だったけど、本気で裁判までいくかもしれないと私すら覚悟した。

その後…

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