俺は二人に財産を分与する為に再婚はしない。
だから俺の財産は公平に二分割されるように
ちゃんと遺書を残しておくから心配するな。
しかし一つだけ遺言を残しておく。
お前たちの今のお父さんやお母さん、
そして姉妹の為にその遺産を絶対に使ってくれるな。
全てを失って途方に暮れていた
あの時の俺の気持ちをお前たちが理解してくれるなら、
その約束だけは絶対に守ってほしい。
もし約束できないなら
俺は遺産の全てを恵まれない子供達の為に寄付する。
大まかにいうとそう言われたらしい。
4人いる部屋の中がシンとなった。
元夫の私たちに夫婦に対する
憎悪の激しさにゾッとした。
そんな金あてにするか!
夫は吐き捨てるように言った。
しかし結果的に大学に進学するとき
マンションの家賃を元夫が払う事になった。
例の豪華マンションは
子供の養育に支障をきたすと進言したら、
それは確かにそうだと
彼は快く適当な部屋を用意してくれた。
家賃20万の2LDKを
上の子と下の子でルームシェアする事になった。
元夫は異性を入れたら即解約という念書を
娘二人に書かせた。
ここ辺りで完全に実子と連れ子の間に
隔たりができてしまった。
本当は連れ子と同レベルの部屋にして欲しいと
言いたいところなのだが、
そんな事は例の言葉を聞いていたので言い出せなかった。
おかげでそれから
殆ど双方で交流しなくなってしまった。
末の子は一人っ子のようになった。