おもむろにBさんが挙手した。
「先生」
「なんですか、Bさん」
担任はものすごく驚いたような顔つきだった。
Bさんは、震えながら立ち上がり、話し始めた。
「先生は、机をぐちゃぐちゃにしたり、体操着袋に泥を入れたりする人と、友達になれますか?私はできません。
私が、Aさんにそうされたとき、みんなは、机を掃除してくれました、体操着袋を洗ってくれました。だから、私は、みんなと友達になりたいと思いました。
みんなは、Aさんの机に落書きしたり、上履き隠したりしません。指さして笑ったりもしません。だから、私は、Aさんはいじめられてないと思います。
みんなが、Aさんと友達になりたくなくなったんだと思います」
すごく小さな声だったけど、ちゃんと聞こえた。
途中から、Bさんは泣いていた。
クラスの何人かも泣いていた。
それでなくてもあがり症なのに、保護者のいる中で、どれだけ勇気を振り絞っただろうか。
Aの「やべっ」って顔、何人見てたかな。
ものすごく腹立った。
その後、終礼のチャイムがなり、男子の一人が号令を怒鳴って、みんなは無言で立ち上がり、帰りの会は終わった。
それから、Aは学校に来なくなり、中学の入学式のときにはいなかった。
越したのかも。
なぜ授業参観の日にあの話題を切り出したのかは、担任の意向なのか、Aの復讐?だったのか、未だに謎。
Bさんが子供と手をつないで歩いてるの見かけたのでカキコ。