俺は当時、神奈川県の「綾瀬市」に住んでいた。で、その綾瀬市には駅がないので、最寄り駅は隣の市のA駅だった。
これが前提。
小2のとき、祖父母の家に行くのに1人で電車に乗ってみることになった。
駅までは親と祖父母に送り迎えしてもらって、乗り換えはなく、ただ1本の電車に50分くらい乗るだけだから親も俺自身も行けると思った。
行きは無事に辿り着いたんだけど、祖父母にめちゃくちゃ褒められて調子に乗ってしまった。
祖父母の家の最寄り駅には、「綾瀬行き」の電車が来る。でもその「綾瀬駅」は「綾瀬市」とはなんの関係もなく、千葉寄りの東京にあり、路線も違う。
しかし電光掲示板で「綾瀬」の文字を見た俺は、その電車でも帰れるんだと思い込んでしまい、○○行き(A駅まで1本で帰れる)に乗るんだよと何度も言い聞かせられていたにも関わらず、
「言われたのと違う電車で帰ってびっくりさせてやろう!」などと思い立ってしまったのだ。
駅員さんに綾瀬に行く切符ください!と頼んで切符を買い、意気揚々と綾瀬行きに乗り込む俺。
当然その電車は見たこともない景色(地下鉄なのでずっとトンネル)の中を進むわけだが、終点が地元だと信じて疑わない俺は冒険を大いに楽しんでいた。
そして無事に(?)綾瀬駅に降り立ち、母と約束していた通り、公衆電話から「着いたよ!」と自宅に電話をした。
しかし…