どこでもドアが欲しかった

あまりにもひどい圧迫面接を受けたので…

time 2016/11/20

あまりにもひどい圧迫面接を受けたので…

失業中の俺があるIT系企業に応募した時の話。 

その時に担当したのがアラフォーのおっさんなんだが、面接が始まった途端に職務経歴書をポイっと後ろに放り投げて 
「見たけど俺にはこういう嘘は通じないから」
とか言い放ちやがった。 

これはもう
「我が社は社内ルールで理不尽がいっぱいです」
と自己紹介してるようなものなので即お断り決定。

だけど自分の名誉もあるんで、しっかりと
「お言葉ですが職務経歴書に嘘を書いた覚えはありません」
と話は続けたんだが、それにムカついたのかビシッとこっちを指さして


「それが嘘なんだよ!」
とドヤ顔で断定宣言。
そして指を下ろしもせずに
「私は顔を見ればその人の本性がわかる!」
と続けると、指先を振りながら
「君はすき家でご飯に牛肉を乗せてるような顔だよ」
と職業差別を交えた批判をする始末。

そこで落ち着いたのか履歴書を開いて読みだしたのでやっと面接を始めるかと思いきや、開口一番に
「その歳で扶養家族がいないのはどういうこと?」
と明らかに仕事と関係無いことを聞いてくる。
そこで返答しようと思ったら、手で言葉を遮り
「牛丼作ってても結婚ぐらいできるでしょ」
とマジ顔。

そこで
「牛丼は作ったことはありませんが、結婚はプライベートなことなのでお答えしかねます」
と返答したんだが、突然
「”父親を亡くし子供の頃からアルバイトで母を支えてきました”」
と何故かアピール欄を棒読みしはじめる。
自分も言葉を失いちょっと無言の間が空くと、覗きこむような顔で
「お母さんが大好きすぎるからでしょ?」
と人格否定。

さらには
「お父さんが若くして死んだのは大変だろうけど、子供を働かせる母親って何か問題があると思わない?」
と家族まで否定。
さすがに頭に来て何か言い返そうかと思ったら、どうやら感情が顔に出ていたらしく
「あ、ごめん怒っちゃった?」
「性格は人それぞれの個性だから否定しないけど、会社の方針として短気な人はいらないから」
とその場で不採用通告。
そしてフォローのつもりなのか
「酷いこと言っちゃったけど仕事だから許してね」
とニヤニヤと謝罪しつつマジ顔に戻して
「本日は我が社へ面接にお越しいただきありがとうございました」
と面接終了宣言。

言葉を失ったままの自分はマジマジとおっさんの顔を見つめるも、真面目な顔をしたおっさんは椅子から立つことも捨てた職務経歴書も拾い上げることもなく、手のひらを上に向けた手でドアの方向を示し頷くだけ。
さすがに不愉快なので
「仕事とはいえここまで言うのは名誉毀損の立派な犯罪ですよ。ご理解なさっていますか?」
と尋ねると
「このたびは職務とはいえ失礼なことを尋ねて大変申し訳ありませんでした。今後の業務の参考にさせていただきます」
と言うも、間もおかずに
「それではお引取りください」
と一言。

俺は立ち上がるとシミで汚れたカーペットの床に落ちている職務経歴書を拾い上げ、おっさんの机の上にある履歴書も手に取るとカバンにしまい込みそのまま退出した。
もちろん
「本日は貴重なお時間を割いていただきありがとうございました」
の一言は忘れなかった。
そして面接の個人反省会用に使っている録音アプリをOFFにすることも忘れなかった。

その後…

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