今はうちにいるデブ猫を飼いだしたのは、夜中に血まみれで道路の真ん中でジタバタしていたのを、仕事帰りに通り掛かった俺が近所の動物病院に連れこんだのがキッカケだった。
夜中の流れの速い道路の真ん中にいたら、轢かれて死ぬのは目に見えていたので、とりあえず道路の端にでも移動させようと車を停めた。
実際に近くで見ると結構出血していて、重症っぽかった。
置いておくわけにもいかず、抱き上げて車に乗せようとすると、これぞ肉食獣!という感じで歯を剥き出しにして俺を威嚇しまくり抵抗した。
トランクにあった毛布をバサっとかぶせて包み、助手席の足元に置くとぐったりしてあまり動かなくなった。
素人目にもこれはヤバいとすぐわかった。
うちの近所にオープンしたての動物病院があったのを思い出し、警察に捕まったら確実に免許が無くなりそうな走り方をしてその病院に急いだ。
自宅兼動物病院に着き、呼び鈴を連打すると若い女の人(奥さん)がインターホンに出て、少ししてパジャマ姿の若い院長先生が目をこすりながら出てきた。
ぐったりと抵抗もしなくなった猫を車から降ろし検査をしたところ、後ろの両足が折れ尻尾が潰れていた。
左足は骨が突き出し、そこからかなり出血していた。
車に撥ねられたようだった。
一日おき位に様子を見にいくうちに情が移り、退院後は俺が引き取る事になった。
2ヶ月経った退院の日、動物病院は恐ろしく高いと周りに脅されていたので
「何十万請求されるんだろ?まさか100万以上なんて事無いよな?」
などとビビりながら迎えに行った
退院後の注意事項を聞いて薬を貰い、会計の時、言いにくそうに言った若い院長先生の一言は鮮明に覚えている。
「う~ん・・・じゃあ・・・