娘は静かに言った。
「私、父の誠心誠意まごころ込めてものづくりしてる姿が好きなんです。父が作り上げた部品は、誰にも負けません」
それを聞いて、いい大人が人前でぼろぼろ泣き出しそうでしたよ。
そしたらぼっちゃん、
「君の振る舞いによってはその仕事も危ういよ」
とか言い出した。
そしたらまた娘のターンで。
「父の仕事への気持ちが侮辱されるくらいでしたら、私が父を養うことくらい、なんともありません。仕事がなくなっても父の作品は世の中に受け継がれ人々の生活を支え続けます」
おじさんの涙腺崩壊しましたよ。
その後は社長に頭を下げて、話は無かったことにして貰った。
相手の社長さん、やっぱりいい人で、ぼっちゃんの件は逆に謝られた。
三十路超えて結婚できないのは性格に難ありだからだと解ってたらしい。
自分の教育が悪くて恥じ入るばかりだとおっしゃっとった。
娘はその後病気にも理解のある、いい青年を見つけて結婚した。
娘の通院にもきっちり付き合ってくれとるらしい。
いまから孫が楽しみでしかたのない。