どこでもドアが欲しかった

元姑の訃報を知り、葬儀に出席してきた。久しぶりに見た元夫は泣き通しで、葬儀の後話しかけてこようとした。でも…

time 2016/11/21

元姑の訃報を知り、葬儀に出席してきた。久しぶりに見た元夫は泣き通しで、葬儀の後話しかけてこようとした。でも…

元姑の訃報を知り、葬儀に出席してきた。
元姑は私にとっては良姑だったから。
数年ぶりに元夫を見た。夫は親族席でずっと泣き通しだった。
喪主の挨拶も途中で泣き崩れてしまって出来なかった。
母親大好きのままだったんだな、これからもそうだろうなと思った。

元夫は母親のことが大好きだったけど、片思いで、元姑は仕事に生きた人だった。
会社勤めではなく自営の社長をしていた。
元夫は結婚すると人が変わったように
「母さんを見習え!」と言うようになった。
そのたび元姑は「私が母として妻として誉められたもんじゃないのは子供のあんたが一番知ってるでしょ。
私の何を見習えって言うの。それに(私)さんは私の若い頃そっくりだよ」
と呆れて諌めてくれた。


元夫が「これは母の味じゃない!」と私の料理に怒るたび
「私の味はこれよ」と丸美屋の釜飯の素をドンとテーブルに置いてくれたり
「文句があるなら私の味を一番知ってるあんたが作るべきでしょ」
「あんたの言うことは一々理屈に合わないね」
と〆てくれた。
でも元夫は逆ギレするだけだった。

元夫の片思いぶりが気の毒なのと、元姑が好きだったせいでズルズル結婚生活を続けてしまったが結局は元夫の浮気で離婚した。
「おまえは家庭的じゃないから安らげない」が浮気理由だった。
元姑に「ちっとも家庭的じゃない私みたいになれと(私)さんを叱っておいてそれ?あんたは何がしたいの」
と言われた元夫は、元姑には言い返さず、私の方を向いて
「出しゃばり!!」と怒鳴り泣いた。
私と元姑の仲がいいのが気に入らなかったのは知ってたが、子供のような罵言にさすがに情も枯れた。
さっくり離婚した。
元姑の勧めでプロを間に入れ、貯金を折半して慰謝料を少しもらって終わり。

元姑に「残念だけどもう会わない方がいいね」と言われ「そうですね」と返事した。
私と元姑につながりを残したら、元夫はさらに病むだろうから。
その後は完全に縁を切り、電話一本しなかった。

それから数年…

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