どこでもドアが欲しかった

進んで残業を引き受けていたら、先輩ににらまれるようになってしまった…

time 2016/11/24

進んで残業を引き受けていたら、先輩ににらまれるようになってしまった…

聞こえてくる会話の端々から、どうやら私が上司に気に入られたのがムカついたらしかった。
確かに昨年末、「妻が最近ガーデニングに凝ってて。良かったら遊びに来てみない?」なんて誘われて、超絶可愛い奥さんを紹介されました。
その時に舌の上でとろける和牛のしゃぶしゃぶをご馳走になりました。
あんまり美味しかったので里帰りの際にお土産をちょっと奮発したら、以前より良くしていただいて申し訳ないくらいです。
良くしていただくといっても、これといった特別扱いはありません。
ただ、少し重要な仕事なんかは優先的に指名されるようになったくらいで。

先輩の理由を知った時の私の感想としては、「エエーナンダソリャ…(‘A`)」でした。
残業の時に上司が残ってんのは周知の事実じゃん。アナタ「残業してくれるヤツがいてラッキー☆」なんて言ってたじゃん…
そしたら先輩から「そんなに残業ばっかして、お金に困ってるの?(プークスクス)」って…orz
仕事している以上お金は稼ぎたいけど、そんな言い方されると自分がみみっちくて賎しい気がして軽く凹んだ。

そんな折、残業してたら上司が「その作業、そんなやり方してたら効率悪いよ」と指導してくれた。
「誰に教わったの?」とか聞かれたけど、先輩って答えるべきか悩んでたらうやむやになった。
先輩と答えると告げ口みたいな気がするし(保身)、かといって、自分の口から先輩に指導するのもちょっと…(保身)
そもそも先輩は私のことを「新人」と位置づけてるから仕事のことで口挟むと「新人のくせに生意気!」ってヒス起こすし。
運良く先輩の作業中に上司が通りかかって指導してくれるように祈ろう、と思ってた。甘かった。

たまたま上司が席を外している時に、先輩が私の作業を見て「あ゛ーっ!?」って声を上げて詰め寄ってきた。
「何勝手にやり方変えてんの!?アタシが教えたのと違うでしょ!?」
素直に「上司から教わった」と言うべきか、迷った。
上司に飛び火したら嫌だな、とか、でも先輩は上司に好意を持ってるみたいだからヒスは起こさないんじゃないかな、とか考えてた。
ていうか、作業のやり方を教わるほど親密なの!?とか思われても面倒くさい(保身)。
そんなことを一通り考えてから、「でもやっぱり正直に言った方がいいかな」と思い、
「いや、これは…」
「謝罪より先に言い訳pgr!!!頭おかしい!!」
…口を挟む隙も無かった。
しかし先輩、「誰かから教わった」とは微塵も思わないのか、「私が独断でやり方を変えた。先輩たる自分への侮辱」と思っているご様子。
仕方がないので黙ってしおらしくお説教を受けながら、内心早く終わらないかなと思っていた、ら…
「どうかしたの?」
上司登場ktkr。ヤバい、話がこじれるんじゃないかと焦る私。
先輩はというと、上司の前で私に恥をかかそうという満面の笑み。いや待て。自重汁。

「Aさぁん、聞いてくださいよぉ〜。○子さんったらこの作業、アタシが教えたやり方を勝手に変えてこんなやり方で…」
「そのやり方教えたの僕だけど」
冗談抜きで空気が凍った。先輩はしなを作ったポーズで固まってるし。
「あ、前のやり方教えたの、先輩さん?駄目だよ、あんな効率悪いやり方教えちゃあ」
先輩、プルプル震えてる。
もうね、そんな「よくも嵌めやがったな」みたいに睨まれても困るんだって。
「それとね、先輩さんが担当してた会社からクレームが来たから。今度から○子さんに担当変わってもらうね」
もう止めてあげて、Aさん!先輩のライフはもう0よ!
ところが先輩は、ファイナルアタックのマテリアを装備していたのか、突如私を指差して、上司に訴え始める。
「でも!最近ロッカーで多発する盗難は○子が犯人に違いない!○子はアタシたちと一緒に休憩しないし、お金に困ってる!○子に決まって」
「ハァ〜…」
上司、頭に手を当てて深いため息。
「…あのね、○子さんは休憩中、キミたちが好き勝手に使った備品を直して、補充してくれてるの」
ちょwwそれは必要な時に所定の場所にものが無いとイラッとするからだよ!決してみんなのためじゃないよ!
イラッとするより休憩潰してでも使いやすくする方が精神的な負担が少ないだけ。しかも自分優先で配置してるよ、あれ。
「僕から言わせれば、1時間に2回も3回もトイレに立つ君達の方が怪しい。しかもね、みんなが使ってる備品は○子さんが自腹で購入し」
ハイ、100円の備品費でもいちいち書類書いて提出すんのが面倒だったんです。
「それとね、休憩中にキミたちが食べ散らかしてるお菓子は○子さんが」
菓子受けはあるのに中身が無いから入れてみたんだよ!毎日減っていくのが密かな楽しみだったんだよ!
それにしても、補充してんのは誰にも見られてないつもりだったのに、何故…?
「こんな○子さんが盗みなんて」
恥ずかしくて死にそうだからそのへんにして、Aさんorz
今度は地味に私のライフが削られていったが、先輩のHPはそれ以上に削られた模様。
というより、盗難が多発してたことすら知らんかった。

そういえば最近朝礼で、貴重品の管理についてしつこいくらい言ってたなー程度の認識。
先輩は、涙目で肩を震わせ、顔を真っ赤にして尚も言い募る。
「でも!実際○子のロッカーには盗まれたものが…」
ここで私も上司も、その場に居た全員が「ん?」ですよ。
「………先輩さん、何で○子さんのロッカーの中身知ってるの?」と上司が言い、
「ああ、最近知らない間にロッカーに入ってたやつって盗まれたものか」と合点がいく私。
てっきり使用済みのゴミを入れてくる嫌がらせだとばっかり。
上司の詰問にファビョる先輩はさらに自爆。
「でもでも、先週はB子(同僚)もティファニーのネックレス盗まれてたし、お金に困ってる(まだ言うかw)○子しか……」
B子「えっ…私、誰にも”ティファニーの”なんて言ってないと思うけど。何で知ってるの?」
ハイ、鮮やかなコンボが決まって先輩轟沈です。
どうやら先輩は、「金目のもの」と「くだらないもの」を盗んで、
貴重品→自分の懐
ガラクタ→私に濡れ衣を着せるために私のロッカーへ
だったようだ。

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