ちょうど6年前に2つ年下の彼氏がいました。
猛アプローチを受けて付き合い始めたのですが、純朴で可愛くて子犬みたいで、何より優しくて誠実で大好きでした。
ある時、デートをしていたのですが、その帰り道、街灯こそあるものの夜で暗かったためかそこで事故に会いました。
覚えてるのは、とっさに彼を突き飛ばしたこと。
少なくとも私には痛いっていう感覚はありませんでした。
気がつくと半月くらい経っていて、右足膝下がなくなっていました。
彼からは何度も私の両親を通じて、
「そっちに行ってもいい?」
と聞かれていたのですが、とりあえず
「来ないで」
と伝えていました。
ああ、捨てられるんだろうな。
私だって無理だし。
仕事もどうしよう。
親に迷惑かけるな。
親が死んだらどうしよう。
と色々と考えていました。
結局、事故から一ヶ月経った時に彼に来てもらって、どういう要件だったのかを聞こうと思いました。
彼にその場で土下座されて、庇って助けてくれたことの感謝と謝罪をされて、
「良ければ一生一緒にいたいです。支えさせてください。」
とプロポーズされました。
彼の両親は反対こそしませんでしたが、私の両親も大反対したそうです。
しかし、彼が私の両親に土下座して頼み込んで、私の両親も
「もうこの先私は結婚は無理だろうから」
と結局許したそうです。
彼は次男だったので、私の家にお婿に来るという形で結婚しました。
しかし…
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そこから旦那は相当に辛かったと思います。
父が気を遣うだろうと、家の近くの土地に夫婦2人で住むには困らないくらいの仮住まいのようなものを建ててくれたのですが、それまでは母屋で暮らしていました。
しかし、特に父や妹とは当初、上手くいかなかったようです。
(事故のことが原因で)私の妹からとてつもなく敵視されていましたし、私の見ていない所でひどい嫌がらせまでしていたようです(両親は見つける度に強く怒っていたようですが…)。
また、父も普段は優しく接して(事故の前には既に紹介していて気に入られてはいました)いました。しかし、食事などで長く同じ空間にいると、週に1度くらいの頻度で、突然「ガァッ!」と声を上げて、旦那をナグる蹴るということがしばしばありました。
母や私の力ではもちろん止められませんし、妹はもちろん静観。旦那も反撃しないので、血だらけになっていることもありました。
そんな生活だったので、旦那は家では何重もの理由と要因が重なり、借りてきたネコのように怯えて暮らしていましたし、自分から何か声を発すると言うことはほぼありませんでした。常に旦那の味方をしていたのは母くらいだったと思います。
私も2人の時に、
「ごめんね。大好きだよ。」
と毎日のように謝っていました。しかしいつもそういう訳でもなく、義足に慣れるまでは、片方の脚がなくなったことで不自由を感じて耐えられなくなった時には、旦那に獣のように感情的になりながら当たり散らしていました。
でも、旦那は
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
と言いながら抱きしめてくれました。
夜も、旦那が布団の中で泣いているということが多々ありました。
仮住まいは出来たものの、私1人では不自由する事も多く、私が義足に慣れるまでの二年近くはこのような生活が続きました。
しかし、旦那は何も言わずに私を支えてくれました。義足を作るときはもちろん、リハビリにはほぼ欠かさず付き添ってくれましたし、休みの日にもちょっとした所に連れていってくれました。
義足は慣れるまでは、体のバランスが取りづらく、肩がものすごく凝ったり、腰が痛くなったりとすごく体に来ます。
それについても、わざわざDVDをみてマッサージをほぼ毎日してくれましたし、慣れるまでお風呂もほぼ旦那が入れてくれました。
夫婦生活も結婚してから2年間全く出来なかったのですが、浮気されることもありませんでした。
いつか私が
「ごめんね。迷惑かけちゃって。他に好きな人が出来たら言ってね。」
と言うと、
「迷惑なんかじゃないよ。僕の方こそごめんね。昔から嫁ちゃんとしか結婚するつもりなかったし、早くなっただけだよ。早く(義足が)馴染むといいね。」
と言ってもらえました。
事故から一年半もすると、妹が嫌がらせをする事も、父が突発的に旦那をナグることも無くなりました。
上にも書きましたが、事故から2年後にはほぼ仮住まいで住んで、そこから更に1年後に家の近くにマンションを借りてそこで暮らしています。
マンションに引っ越してから3年近く経ちますが、年明けに夫婦だけで入れる温泉のある上高地の旅館に年末年始を過ごしています。
今年もそこで過ごしたのですが、今妊娠3ヶ月なので、来年は行けないなという感じです。
旦那には本当に大事にしてもらってるし、愛してもらっている。それに、私も旦那の事が本当に好きです。
一部の友人には、
「あんな事がなかったら、別の人生もあって、もっといい結婚も出来たかもね。もったいなかったね。」
といわれますが、旦那以上の旦那に出会えることなんてなかったと思うし、今以上の生活なんて考えられないです。
今まで迷惑を掛けすぎたけど、旦那を思いっきり幸せにしてあげたいです。