俺はDNA鑑定でふっきれて、受験に専念できたが、向こうの兄はしばらく抱え込んだままだったらしい。
一応、連絡先はたがいに知っていたし、ケータイかわったりメルアドが変わった時はメールしたけど、
そんなに頻繁に会うわけでもない。5年間で5回ぐらいか。会っても他人行儀だけど。
姉は去年結婚して、結婚式に呼ばれた。向こうの親戚の前で、双子でそろって座るのは拷問だったと後から兄から聞いた。
今までの最初の修羅場。
で、2度目の修羅場が、3日前。
兄から電話がきて、あって飲もうということになった。飲むのは初めて。
姉がいないで会うのも初めて。なんか緊張した。
俺はもう働きだしているけど、兄は鑑定の後の精神的ショックとかいろいろあって浪人して、今、就職活動中。
居酒屋で飲んで、当たり障りのない話をして、今度は俺のアパートで飲みなおした。
そこで本音を語りだした。
「俺は女性不信だし、コミュ障だ」「こんな俺じゃ就職なんかもらえない」
「両親の愛をうけて育ったお前が羨ましい」「友達はいても、全然幸せじゃない」
「なんでこんなことになったんだ」「俺にも母親がいれば」
みたいな感じで愚痴りだし、俺も酒はいってたせいで、あまりにうるさいので怒鳴っちゃったら、ナグり合いになった。
ラックは壊れる。液晶テレビ割れる。PS3壊れる。
お互い流血するまでナグりあい。
とうとう近隣の住民が通報するレベルとなり、警察官もきて、お説教。
警「兄弟喧嘩で周りに迷惑かけるんじゃない」
兄「兄弟じゃない、他人だよ!」
その後、兄の酔いがさめるまで警察署の相談室でお泊り。
事情を聴いた警察官がめっちゃ同情してくれた。「そういうことってあるんだな」って。
酔いがさめたら、兄は平謝り。あちこち謝ってまわって、それからヤマダ電機いってテレビとPS3買ってくれた。
まだ学生なのにすごく金をもっていることが不思議だった。