どこでもドアが欲しかった

長男が数十億の財産を持って逃走→俺が末期癌になるとひょっこり現れ「数十億はとっくに使い切った、孫に遺産よこせ」

time 2016/11/30

長男が数十億の財産を持って逃走→俺が末期癌になるとひょっこり現れ「数十億はとっくに使い切った、孫に遺産よこせ」

バブル崩壊前まで手広く事業をやっていた。
もちろん戦後からこつこつと会社を大きくしてきたが、バブル崩壊の10年くらい前に不動産に手を広げ、田んぼだらけの町が新興住宅街に変わり始める時期だったので、不動産関係でとにかく儲けた。

建築関係・飲食店・中古車販売・不動産。
地元でそこそこ名の通った会社に成長した。
娘2人は嫁いだので、唯一男子の長男を専務にしたが、社長である自分と古い社員で会社を回してきたので、息子は肩書だけの専務、いわゆる「何にも専務」

思い返せば夢のような時代だった。
何をやっても儲かり、毎晩繁華街で豪遊、高級外車を何台も購入し、自宅は増築を繰り返し、最終的に1ブロック全ての土地を買い豪邸を建てた頃、バブル崩壊。

幸い大きな借金はなく、会社の株と不動産を売り払って、社員全員に十分な退職金を払って廃業。

残る土地などの固定資産税も高額なので豪遊は続けられないが、自分の年齢的にも、そろそろ隠居して構ってやれなかった妻とゆっくりしようと思ってたので生活に不都合はなかった。


そんな時、妻が脳梗塞で倒れた。

幸い一命は取り留め、手術・入院を経て退院。
自宅介護が始まった。

自分は廃業の残務が長引き、介護できる状態にない。
現代と違って、介護サービスも全く充実してない時代だった。
長女は飛行機の距離、県内に住む次女の夫も自営業で、バブル崩壊で数億の負債が発生して修羅場。
母親の介護などできる状態になかった。

必然的に介護は長男&長男嫁にのしかかる。
廃業するとはいえ、そこそこの暮らしは維持できる。
家だってバリアフリーにリフォームしたし、充実してないとはいえ、ある程度は出張介護サービスを利用する。
一般的な家庭の介護よりは遥かに負担が少ないはず。

専務のくせにろくに仕事もしないで高給取り。
さんざん豪遊して、親の恩恵を受けてきたので親孝行のターンだと、妻の世話を命じたら、敷地内完全別居していた長男は嫁と子供を連れて、忽然と消えた。

ベンツ・BMW・ベントレー・ロールスロイス等、10台以上残っていた高級外車は全部売り払われた。
投資用マンション等、土地の権利書で銀行の貸金庫に入れていなかった不動産もほとんど売り払われた。
今だったら違法だけど、当時はいろいろ法的に甘くて、いろいろなことが強行でできてしまった。
3つの蔵にあった骨董品も、ごっそり無くなっていた。

自分は残務整理と妻の介護で忙しく、また横領犯は育て方が悪かったバカ息子ということで、警察沙汰にもできず、娘に罵られたが、泣き寝入りした。
長男は数十億の財産を持って逃げた。

数年後に妻が他界。
そして最近、自分も末期癌が見つかった。

相続の準備を進めるにあたり、残る財産は2人の娘と、その孫達に。
長男は推定相続人から排除してあった。

しかしどこから噂を聞きつけたのか、ひょっこりと長男が現れた…

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