どこでもドアが欲しかった

我が家は中華料理店。客「おたくの冷凍餃子買ったけど全然美味しくなかったよ」私「うちは冷凍餃子なんてやってませんよ?」

time 2016/11/30

我が家は中華料理店。客「おたくの冷凍餃子買ったけど全然美味しくなかったよ」私「うちは冷凍餃子なんてやってませんよ?」

うちの実家は都内で中華料理屋をやっている。

本店は小さなビルで、両親と長兄夫婦でまわしています。

支店は、セミリタイアした祖父が家の一階を改造した、趣味でやっている店。
末っ子の私がパートで手伝っています。

次兄は大学卒業後に金融関係に就職。職場結婚。

「どうせ、長兄が継ぐんだから」
と家業に一切の興味なし。

次兄嫁がいわゆる
「意識高い系」
の人で、資格をいっぱい持っていて、
なんにでも口を出してくる人。
たとえば、結婚する前、顔合わせをうちの本店でやったんだけど、まだ籍も入れていないうちから
「この餃子、大きすぎますね。女性客には、京都の餃子みたいに一口サイズがいいんですよ」
とか言い出す。

(うちは皮厚で肉汁自慢の餃子が評判なんだけど)
店のお茶を一口呑んで
「色が薄いですね。先輩に中国で買い付けしてる人がいますから、相談してみましょうか」
(うちは曽祖父の友人だった台湾のお茶屋さんから今も購入してる。かなり良質な凍頂烏龍茶)
両親は
「次兄は、店とは無縁だから」
と、
そういったところは見ないようにして無事結婚。

次兄夫婦結婚後の大晦日、本店は中華おせち、支店は年越しラーメンで大忙しなのに、31日の夕方に連絡もなしにやってきた次兄夫婦
「お腹が空いた」
とブーブー。

母が
「冷蔵庫に材料あるから、長兄の子供たちの分もつくって、先に食べて」
といったら、

「なんで、来客に働かせるのか、嫁いびりだ」
と次兄嫁はブチ切れ。

中華おせちの一番良いお重を、無断で持って帰った。
3日前に言ってくれれば用意してあげたのに。
そのお重は、両親夫婦の来客用だったので、どうにかはなったけれども……
(ちなみに、長兄の子供2人は、自分たちでチャーハンつくって食べていた)
 
そういうわけで、祖父も両親も長兄夫婦も私も、次兄夫婦とは積極的に交流をもたない状態に自然になっていた。

で、6年前の春、私は祖父の店に修行に来ていた人と意気投合し結婚。
支店は、私たち夫婦に任せるか、みたいな流れになったら、夏に次兄嫁が一人で乗り込んできた。
次兄嫁「長兄が本店、妹が支店を継ぐなら、私たち夫婦はどうすればいいのですか」
母「あなた達夫婦は中華料理屋になんか興味ないでしょ。お金なら平等に残してあげられるけど、店は無理よ」
次兄嫁「私が本店と支店の経営を見てあげます!」
本店と支店の経営を統合して会社組織を作り、簿記2級の次兄嫁が経理部長をやる。ついては、月50万円の給料をよこせ、と。
父は呆れ返って
「うちの遺産問題のことを話すなら
嫁じゃなくて次兄本人に話すことだ」
で終了。

母が、次兄本人に電話すると
「嫁も義実家を親身になって心配してくれてるんだよ」
と脳天気。

これでまた、次兄夫婦との関係は遠くなる……

 
そして、秋。
リーマン・ショックで、次兄が会社をリストラされた、というか、早期退職優遇制度で辞めた。
で、次兄夫婦襲来。分厚い書類を持ってきた。
表紙には『○○飯店ネットショップ企画書』。
うちで評判の良い点心(餃子、焼売、小籠包、肉饅、中華菓子など)をネットショップで売る。次兄が社長、次兄嫁が副社長。
次兄夫婦がネットショップたてて、注文と決済を担当する。

本店と支店は、その注文品をつくって発送する。
価格は次兄夫婦が決定。本店と支店は次兄夫婦に指示された納品価格で下ろす。
急速凍結庫、ダンボールの用意などは、本店と支店の負担。
つまり、次兄夫婦はPCの前に座ってるだけ。
 
一応、色々と原価率なども計算されてるんだが、父や長兄や私たちの労働賃金なんて含まれてない。
そのことを指摘すると
「今までより大量仕入れになるから
本業の利益率が良くなるはず。それが賃金」
と義兄嫁。

両親が
「点心は、原材料費よりも、人件費つまり手間のほうがかかるんだ」
といっても、
次兄嫁「そこは機械などでオートメーション化してください」
父「その費用はどこから出るんだ?」
次兄嫁「設備投資ですから、自分たちでお願いします」
祖父「それじゃ、○○飯店の味じゃなくなる。私が認めん!」
次兄嫁「たかが点心じゃないですか」
とニヤニヤ。

その間、次兄は、嫁の言うことにウンウン頷いているだけ。
最後に、祖父が
「次兄はどう考えてるんだ?」
と問うと、

次兄「みんな、WinWinだからいいと思うよ、うん。なんで、反対するのかがわかんない」。
祖父「ウンヌンだかワンワンだか知らんが、手前勝手な言い分で、店に口を出すな」
で、話し合い終了。
次兄夫婦が帰ってから、長兄奥さん泣いてた。
「点心だって、忙しい時には、お母さんと私で営業時間後に睡眠時間削ってつくってるのに、たかが点心って」
私もつられて泣いた。

それから1年ちょっと、次兄夫婦は我が家に寄り付きもしなくなった。
平和だな、と思っていたら、支店の常連客さんが変なコト言い出した。
客「こないだ、おたくの冷凍餃子買ったけど、全然美味しくなかったよ」
私「え? うちは本店も支店も冷凍餃子なんてやってませんよ?」
客「いや、楽○にネットショップ出してるじゃないの? ○○飯店ネットショップって」

 
帰宅後、家でPC確認したら…
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