ポケットから携帯を取り出して、110番に電話した。
人生で初めての110番で、緊張したが、なんか優しそうな声のお姉さん(おばさんかも)が出てくれた。
細部は適当だが、だいたいこんな感じだった。
「はい、〇〇です(なんとか指令室とか言ってた気がする、忘れた)、どうしましたか?」
「え、えっと、その、家に泥棒が入ってきているみたいであdsfか;」
俺はちょっとドモりながら答えた。
「泥棒に入られたんですね、住所はどちらですか?」
「入られたんじゃなくて、今どろぼうがあ;dsfじゃ;ldjkf」
俺は語尾に向かって声が小さくなる癖がある。
「えっ、いま泥棒がいるんですか?」
「ハ、ハイ、そうなんですあ;lkdjf;k」
ちょうどそれ位の時に、和室の方からカラカラカラっと窓の開く音が聞こえてきた。
俺は声をひそめながら、モソモソと住所を伝えた。
「分かりました、すぐに付近の警察官が向かいますのでお待ち下さい。 ハン人の身長や服装は見ましたか?」
「いえ、まだ見てないでぅ」
「わかりました。では連絡先を教えて下さい」
んで、携帯の電話番号を言ったら
「それでは警察官が到着するまでお待ちください」
といって切られた。
電話を切って一息ついたくらいで、たぶんリビングの方のあたりから ミシッミシッって人が歩いている音が聞こえてきた。
か、確実に中に入ってきているよ!!
早く来てくれ警察の人!
俺はすがるような思いで祈っていた。
でも同時に、「そういやガラス割れる音しなかったな」
とか、どうでもいい事も考えていた。
後で分かったんだが、ガラス割る時は ガムテープみたいの貼って割るから殆ど音がしないらしい。
で、しばらくはリビングの方でゴソゴソやってたみたいで、 たまに引き出しをあけるような音とか聞こえるくらいで、 割と静かなもんだった。
俺は汗だくになりながらも、じっとトイレで身をひそめていた。
どれくらい経ったろう。