義両親の希望とこちらも経済的に助かるという事情で同居の話が出た。
ただ問題は義実家に結婚する気配もない26歳のコトメがいること。
この時点ではコトメは良くも悪くもなく、というかお互いあまり干渉しなかった。
でも流石にコトメまで同居は気を使うし、この先子供が生まれれば部屋数的にも・・・と、義両親&旦那がコトメに家を出て自立を促した。
コトメは
「私の家なのに?」
と少し渋ったけど旦那
「お前じゃなくて父さんの家だ」で
「分かった、出て行くから一週間くらいちょうだい」
ということになった。
義両親が、一週間なんてそんなに慌てなくていいから、といくらかのお金を渡してスムーズに同居が進みそうだと思ってた。
が、コトメが出て行ったのは3日後だった。
「今までお世話になりました」
という書き置きだけ残して行き先も告げずに。
まるで家出のようなその展開に私夫婦ポカーン、義両親半狂乱。
その場は旦那が
「落ち着いたら引越し先くらい知らせてくるよ」
と宥めたものの、待てど暮らせどコトメからの連絡はない。
「あの子が帰ってきたらこの家に置いてあげて」
と泣くトメの意見を了承して微妙な空気の中、同居を開始。
しばらくして、近所の人の私を見る目に時々引っかかるものを感じた。
そのうち、近所の噂が耳に入るようになった。
ある奥さんが早朝犬の散歩中に大荷物を持ったコトメとバッタリ会い
「あら旅行?」
とコトメに聞いたところ
「兄夫婦が同居するから追い出されたんです。あの家は私の家じゃないって」
「もう戻って来れないと思いますけど、今までお世話になりました」
近所の人にとっては、コトメ=子供の頃から知ってる子、私=見知らぬ新参者。
私は同居開始前からコトメを追い出した鬼嫁として近所に広まっていた。
家に帰れば明るかった義両親が見る影もなくやつれている。
どうしてこうなったんだろう。
どう考えても義両親も旦那も「出て行け!」ってどやしつけたわけじゃないのに。
ちなみに、コトメは無職ではありません。
在宅で仕事をしていました。
専門知識が必要な翻訳で、収入は旦那より』多かったとか。
それもあって義両親は、旦那の方が少ない給料で家庭を持って大変だろうと思ったそうです。
ただ仕事関係の連絡先や友人などはまったく分からないそうです。
旦那は「あいつは昔から友達がいない」と言ってました。
あと、住民票は動かしていましたが転入先も1日でまた動かしてました。
その次に動かした先の住所には義両親が訪ねたところコトメはおらず
「そんな人知らない」
と言われたそうです。
「知らない人」
の住民票がここの住所になってると言っても
「ふーん」
みたいな感じで特に不気味がったりしなかったのでコトメの知り合いではないかと疑ってましたが 、証拠がないのでどうにもできないと。
でも、その後更なる驚きの展開が…